韓国政府が先月6日に発表した解決策は、元徴用工を支援する韓国政府傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」が、遅延利子を含む賠償金相当額を元徴用工訴訟の原告らに支給するという内容。その資金は企業からの「自発的な寄付」でまかなうこととし、1965年の日韓請求権・経済協力協定に基づく日本の経済協力で恩恵を受けた韓国企業が想定されている。一方、被告の日本企業の資金拠出は前提としていない。これまでに、元徴用工訴訟の大法院(最高裁)の判決で勝訴が確定した原告は15人で、賠償金は遅延利息を含め約40億ウォン(約4億2000万円)とされる。現在係争中の訴訟についても、原告の勝訴が確定すれば、同様に対応する予定。
ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は発表した解決策について「これまで政府が被害者の立場を尊重しながら、日韓両国の共同利益と未来発展に符合する方法を模索した結果だ」とし、成果を強調している。
一方、原告の支援団体は「植民地支配の違法性と戦犯企業の反人道的な違法行為に対する賠償責任を認めた2018年の大法院の判決を事実上、無力化するものだ」などと政府が示した解決策を批判している。野党「共に民主党」も「日本に免罪符を与え、歴史と正義を裏切るものだ」と撤回を求めている。
解決策が発表された直後に韓国の世論調査会社、韓国ギャラップが行った世論調査では、解決策について「日韓関係と国益のために賛成」が35%、「日本の謝罪と補償がなく反対」が59%だった。与党支持層を除く多くの回答者で、反対する意見が優勢だった。また、日本との関係について尋ねたところ、「われわれが一部譲歩してでもできるだけ早く改善すべき」が31%、「日本の態度が変わらなければ急いで改善する必要がない」が64%だった。
解決策の発表から1か月が立った今も反発が続いており、大学連合団体「平和ナビ(蝶)ネットワーク」は今月4日から解決策の撤回を求めるリレー学内デモを行っている。4日の韓国・中央大学とキョンヒ(慶熙)大学を皮切りに12日まで計12校で実施するという。平和ナビネットワークは「学校ごとに学生たちから直接署名を受け、強制動員解決策に反対し、この問題は(原告らが納得する形で)必ず解決されるべきということをもう一度強調したい」としている。
こうした中、ハン・ドクス首相が国会答弁で、解決策について「一番大きな石をどかした。こうした石をどかした努力を土台にこれから一つずつ、全て議論しながら解決する方向で努力していく」と述べた。この発言に野党「共に民主党」議員から抗議の声が上がった。
多数の市民団体でつくる「歴史主義と平和な日韓関係のための共同行動」は声明を発表し、ハン氏の発言について「徴用被害者を日韓関係の障害物扱いする容認できない暴言」「被害者をおとしめた」などと批判した。また、「こうした浅はかな歴史認識を持つ人物が首相の座にいてもいいのか、問いを投げかけないわけにはいかない」と非難した。
一方、4日の国会質問で野党議員から発言について改めて指摘を受けたハン氏は「石と表現したのは日韓関係を極度に悪化させた問題を解決したという話だ。私が大韓民国の国民に対して石だと言うわけがない」とし「意図を曲解しないでほしい」と述べた。
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