ウェブトゥーンは縦スクロールのデジタルマンガで、ネットに掲載されているという意味の「Web」と、漫画「Cartoon」を組み合わせた造語だ。Webでの掲載という特性を生かして、作品は縦スクロール、全編カラーであることが特徴。コメディーやラブストーリー、ファンタジーなど、さまざまなジャンルの作品がある。2000年代初めに登場し、スマホやタブレット端末の普及により、世界で人気が高まっている。
昨年7月、「マンガ界のアカデミー賞」とも呼ばれる「アイズナー賞」の授賞式が米国で行われた。同賞の「ベスト・ウェブコミック部門」で受賞したのは韓国のネイバーウェブトゥーンで連載の「ロア・オリオンポス」だった。
また、先月には公募により選ばれた南部の釜山地域のウェブトゥーン作家3人が日本を訪れ、北九州をテーマとする作品を制作した。この取り組みは2019年に釜山情報産業振興院の作家育成事業「釜山ブランドウェブトゥーン」に参加した北九州市漫画ミュージアムの関係者の提案により実現した。
完成した作品は同ミュージアムから出版され、今年下半期に開かれる釜山ウェブトゥーンフェスティバルで公開予定。
ウェブトゥーンはマンガ家の育成にも変化をもたらした。それまで、マンガ家は出版社のマンガ雑誌や、著名なマンガ家の見習いとしてキャリアを積み、デビューを目指していたが、ウェブトゥーンにより、自らホームページを運営し、短編のマンガなどを連載する新しいタイプのマンガ家が登場するようになった。アマチュアマンガ家にはプロを目指す上での門戸がより開かれるようになったといえる。
一方、英国の時事週刊誌「エコノミスト」は、ウェブトゥーンが急成長を遂げている中、日本のマンガ産業が衰退していると指摘。一昨年、マンガ出版市場の規模は2650億円で2.3%減となった一方、世界のウェブトゥーン市場の規模は既に37億ドル(約5070億円)に達し、2030年には56億ドル規模に成長する見通しだと報じた。同誌は「1960年代以降、従来の方式を守ってきたマンガ産業の保守的な構造がこのような対照的な状況をつくり出した」とした。
こうした中、前述のように、日韓のコンテンツ企業3社は日本にウェブトゥーン専用の制作スタジオを設立した。聯合ニュースの報道によると、SZ Mediaは日本で韓国紙のウェブトゥーンを制作、流通させるほか、韓国で制作された作品を映像化するなど多様な事業を進める予定。ソミーメディアのユ・ジュオク社長は聯合の取材に「韓国と日本のコンテンツ企業3位が積極的な協業を通じて面白いウェブトゥーンを制作し、ウェブトゥーン基盤のIP(知的財産)拡大とグローバル展開を積極的に推進していく」と話した。
市場調査会社のMMD研究所がスマホ、タブレット、パソコンのいずれかを所有する日本の15~69歳の男女約1万4500人を対象に行った調査では、コミックアプリ・サービス利用者の4割以上がウェブトゥーンの閲覧経験があることが分かった。世界のマンガ市場で「絶対強者」だった日本において、今後、ウェブトゥーンがどのような旋風を巻き起こすのか注目される。
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