<W解説>韓国・釜山、2030年万博の招致実現へ最大限のPR=博覧会国際事務局の調査団が視察に(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国・釜山、2030年万博の招致実現へ最大限のPR=博覧会国際事務局の調査団が視察に(画像提供:wowkorea)
2030年国際博覧会(万博)誘致を目指す韓国南部のプサン(釜山)市に今月4日、博覧会国際事務局(BIE)の調査団が視察に訪れた。招致実現へ、官民一体となって最大限のPRをした。

釜山市は一昨年6月、2030年の万博誘致に正式に立候補を表明し、万博の誘致申請書をBIEに提出した。テーマは「世界の大転換、より良い未来に向かう航海」。「持続可能な地球」「人類のための技術」「共有と思いやりの場」という3つのサブテーマを掲げ、未来のパラダイムシフトに向けたグローバルなビジョンを提示するとしている。

万博は会場の規模やテーマなどから、主に登録博覧会(登録博)と認定博覧会(認定博)の2つに大別される。1988年の国際博覧会条約改正(1996年発効)以前は一般博と特別博に区分されていた。最大規模の万博である登録博は、1995年以降は5年ごとに開催される。一方、認定博は5年ごとに開催される登録博の間に開かれる、比較的小規模な博覧会。開催期間は登録博が6週間以上6か月以内、認定博は3週間以上3か月以内と定められている。

韓国は1993年にテジョン(大田)国際博覧会(特別博)、2012年にヨス(麗水)国際博覧会(認定博)を開いているが、登録博の開催はこれまで一度もなく、それだけに釜山万博の開催実現は悲願でもある。

釜山市は韓国第2の都市で人口は約300万人。港町として知られるほか、毎年、国際映画祭が開催されることでも有名だ。釜山タワーや新鮮な海産物がリーズナブルな値段で購入できるチャガルチ市場、高級ビーチリゾートのヘウンデ(海雲台)、韓国でも珍しい波打ち際に建つ1376年創建の由緒ある寺、ヘドン(海東)龍宮寺など観光スポットも多数ある。

韓国はこの地での万博開催実現に向け、これまで官民あげての総力戦を展開してきた。ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は、釜山万博開催を主要国政課題の一つに掲げている。政府は企業や公共機関、自治体と協力し、BIE加盟170か国を対象とした誘致活動を強化。韓国の「LG」や「サムスン」、「SK」、「現代自動車」など国内の代表企業で構成するタスクフォース(TF)は誘致活動を進めている。

誘致に向け、広報活動をさらに強化しようと、誘致委員会は昨年、世界的な人気を誇る韓国の男性アイドルグループ「BTS(防弾少年団)」を釜山万博広報大使に委嘱。「BTS」はその活動の一環として昨年10月、釜山でコンサート「BTS Yet to Come in BUSAN」を開催した。

BIEの調査団は視察のために4日に韓国入りした。釜山駅では約5500人の市民が出迎えた。調査団は4日、市内のウルスク(乙淑)島生態公園を訪れ、保護された野生動物が自然に返される様子を見守った。釜山万博ではサブテーマに「自然と持続可能な暮らし」を掲げている。夜にはパク・ヒョンジュン釜山市長主催の夕食会で一行をもてなした。5日に調査団は万博会場予定地の釜山北港を視察した。展示館の造成や宿泊施設の準備計画、会場へのアクセスなどに関して、市の関係者、専門家からの詳細な説明を受けた。釜山万博の全体像をイメージできるジオラマや3D映像も鑑賞した。6日には釜山万博の広報と事業費に関するプレゼンテーションを受けた。

BIEの調査団の視察中、韓国の国内企業は招致の総力戦を展開。現代自動車グループは、駐韓外国人の視点で釜山の競争力を伝える映像キャンペーンを行った。「エアプサン」は7日、BIE調査団に専用機を提供。調査団のメンバー8人が釜山での視察を終えて仁川国際空港に移動する際、この航空便を利用してもらった。搭乗前、乗務員たちは一行のために歓迎行事を開いた。調査団のメンバーは同日、帰国の途に就いた。

尹大統領はBIE調査団による現地視察の最終日となった6日、釜山で中央地方協力会議を開き、政府を挙げて万博招致を支援する考えを改めて示した。尹大統領は「全て動員し、力を合わせてほしい」と呼び掛け、「万博誘致は釜山だけのことだと考えてはならない。韓国のことであり、すべての市・道のこと。全国の(広域自治体)17市・道が持つ国際ネットワークを積極的に活用し、171のBIE加盟国の心をつかめるよう努力しなければならない」と強調した。その上で「地域の均衡発展をけん引する役割を果たし、グローバル中枢国家として飛躍するため、必ず誘致しなければならない課題」と述べた。

2030年万博は釜山のほか、ウクライナのオデッサ、サウジアラビアのリヤド、イタリアのローマが招致に名乗りを上げており、熾烈(しれつ)な誘致競争を繰り広げている。中でも、莫大(ばくだい)なオイルマネーを前面に出しているサウジアラビアは韓国にとって最も強力な競争相手に挙げられる。

2030年万博の開催地は今年11月に決定する見通し。

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