<W解説>日本の外交青書に韓国は一様に反発=一方、冷静に受け止める与党議員も(画像提供:wowkorea)
<W解説>日本の外交青書に韓国は一様に反発=一方、冷静に受け止める与党議員も(画像提供:wowkorea)
韓国政府は今月11日、日本政府が同日公表した2023年版外交青書で竹島(韓国名・独島)の領有権を主張したことに対し、「強力に抗議し、これを直ちに撤回するよう求める」と表明した。一方、松野博一官房長官は抗議した韓国政府に対し「受け入れられない」と反論したと明らかにした。

外交青書は、日本外交の方針や国際情勢をまとめた文書で、外務省が1957年から毎年作成している。毎年4月に外相が閣議に報告し、外務省のホームページから誰でも閲覧できる。また、製本版が、例年6月頃から市販もされている。「青書」の名称の由来は、外交青書を作成し始めた当時、英国議会の外交委員会の報告書を参考にした際、その報告書の表紙が青色だったことに由来する。特に、二国間関係や地域情勢をめぐる記述部分は、日本政府の公式見解を示したものとして、各国政府の注目度も高い。

2023年版の外交青書は、今月11日の閣議で林芳正外相から報告された。2023年版ではロシアのウクライナ侵攻などを踏まえ「国際社会は歴史の転換期にある」と強調した。また、米国と中国による覇権争いを念頭に「対立や競争と協力の様相が複雑に絡み合う状況」と指摘。核軍縮では「核兵器のない世界」の実現を目指し、世界屈指の核戦力を保有する米国と連携を図る考えを明記した。

ロシアによるウクライナ侵攻について「既存の国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、ポスト冷戦期が終えんしたことを象徴するもの」としたほか、日本周辺の安全保障環境については、北朝鮮による核・ミサイル開発の急速な進展や、中国による東シナ海や南シナ海での力による一方的な現状変更の試みから、「戦後最も厳しい状況にある」とした。

また、韓国が「独島」と呼んで領有権を主張する竹島については、「日本固有の領土」と明記。韓国が警備隊を常駐させるなど国際法上何ら根拠なく不法占拠しているとした。

林外相は2023年版外交青書について記者会見で「ウクライナ情勢や経済安全保障など、さまざまな困難に直面する中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けてリーダーシップを発揮している日本外交の姿をしっかりと国内外に発信したい」と述べた。

外交青書に、竹島を「日本固有の領土」と明記したことについて韓国政府は報道官論評を発表。「今後も政府は独島に対する日本のいかなる主張にも断固として対応していく。独島に対する不当な主張を繰り返すことは未来志向的な韓日関係の構築に全く役に立たないという点をしっかり自覚すべきだ」とし、撤回を求めた。また、外交部(外務省に相当)は在韓日本大使館の熊谷直樹総括公使を外交部庁舎に呼んで抗議した。

韓国の政権与党「国民の力」からも批判の声が上がっており、キム・ギヒョン代表は14日、「歴史に対するより真摯(しんし)な反省があるべきだった。非常に残念」と述べた。また、外交青書で竹島の領有権を主張したことについては「独島を自国の領土だと主張するのは論外だ」と批判した。

韓国紙のハンギョレ新聞は「外交青書を見ると、歴史問題や領土問題について日本の立場は全く変わっていないことが再確認できる」と指摘し、外交青書で竹島について「日本固有の領土」との表現が用いられるのは、2018年の外交青書に初登場して以来、6年間維持されていると伝えた。さらに同紙は、日韓最大の懸案となっていた元徴用工訴訟問題について、3月に韓国政府が解決策を示した後、同月に行われた日韓首脳会談を引き合いに「(会談では)日本から歴史に関する謝罪や賠償などのいかなる成果も導き出せなかったと韓国内で批判があったが、今回の外交青書の内容を見ても、日本の基調は首脳会談前後で何ら変化がないことになる」と指摘した。

一方、韓国与党「国民の力」の議員からは「日本が尹大統領の大局的な決断に感動し、独島に対する立場を変えるか歴史問題で謝罪すると信じるのは安易な判断」(テ・ヨンホ最高委員)と冷静に受け止める声も上がっている。テ氏は両国の問題は「長期的な視点」が必要と主張した。

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