<W解説>韓国・三養食品の人気商品を日清食品が模倣した?=韓国メディアの報道がおとなしめな理由(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国・三養食品の人気商品を日清食品が模倣した?=韓国メディアの報道がおとなしめな理由(画像提供:wowkorea)
韓国メディアの報道によると、日本の大手食品メーカー「日清食品」が、韓国食品大手「三養食品」の即席麺「ブルダック炒め麺」の類似品を発売し、「パクリではないか」として物議を醸している。三養食品は対応の検討に乗り出した。かつては韓国の食品メーカーが日本の製品をまねるという事例が多々見られたが、今回、逆の現象が起きたことに、韓国の即席麺の地位が高まったことを象徴する出来事として肯定的に見る向きもある。韓国紙・朝鮮日報のキム・ホンス(金洪秀)論説委員はコラムで「『Kラーメン』の絶え間ない革新が成し遂げた逆転劇だと言えよう」と論評している。

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 日清食品は先月20日、「日清焼きそばU.F.Oポックンミョン 濃い濃い韓国風甘辛カルボ」を発売した。日清は「チキンのうまみとコチュジャンの風味、チーズのまろやかなコクをきかせた『甘辛カルボ味』」として宣伝し、商品を販売している。

 しかし、発売後からピンクを基調とし、商品名が赤字のハングルで記されているパッケージデザインや、辛い麺にカルボナーラ風味のソースをまとわせた炒め麺という商品の特徴が三養食品の販売している「カルボナーラブルダック炒め麺」と酷似しているとの指摘がネット上などで相次いだ。

 聯合ニュースによると、これに関し、三養食品の関係者は製品名が異なるため、商標権だけでは対応できない部分があるとし、「不正競争防止法などの観点からさまざまな対応策を模索している」と話した。一方、JCASTニュースによると、日清食品は同メディアの取材に「当該商品についての報道やSNS上でさまざまなご意見があることは認識しており、指摘を真摯(しんし)に受け止めている」とした上で「関連法令を順守して製品の開発やマーケティング施策を展開している。今後も、この基本方針に則って事業活動を進めていく」と説明している。

 三養食品は、韓国で初めてインスタントラーメンを発売した食品メーカーとして知られる。1963年に発売された「三養ラーメン」は、朝鮮戦争後の食糧難が続いていた韓国で、手軽に食べられる食品として創業者の故チョン・ジュンユン(全仲潤)氏が考案した。

 また、この製品が生まれた背景には、国民の窮乏を救いたいというチョン氏の思いに日本の明星食品の奥井清澄社長(当時)が共感し、明星食品が技術を無償で提供したというエピソードがある。ちなみに朝鮮日報によると、三養食品は1960年代、日清に対し技術指導を請うたが、断られた過去がある。

 今や、世界で人気が高まっている三養食品のブルダック炒め麺は、同社が2012年に発売した激辛インスタントラーメンだ。これまでチーズやカレー、キムチ、焼きそばなどシリーズ化され、40億個以上が販売された。ブルダック炒め麺によって、外国人が韓国の辛いインスタントラーメンに挑戦する「ファイヤー・ヌードル・チャレンジ」が世界的に広まった。動画投稿サイト「ユーチューブ」では、関連の動画だけで100万本以上アップロードされている。また、ブルダック炒め麺は、チャパグリ(チャパゲティとノグリという2種類のインスタント麺を合わせたレシピ)のように、消費者が既存の製品をアレンジして、世の中にまだない製品を作る「モディシューマー(modify+consumer)」ブームを巻き起こした。

 三養食品2019年には日本法人を設立し、日本市場攻略を進めている。ブルダック炒め麺については、日本においてハングル・日本語の商標権を持っている。同社は今後も製品のオリジナリティを強調したマーケティング活動を展開する予定という。

 今回の騒動に関して三養側は、今後の対応を検討中とのことだが、韓国メディアの報道はおとなしめで、問題点を厳しく指摘するような論調の記事は見られない。むしろ肯定的な見方を紹介する記事もあり、朝鮮日報は、外食経営学が専門のキョンヒ(慶熙)大学のキム・テヒ教授の話を紹介。キム教授は同紙に「アジアのソフトパワーの軸が日本から韓国に大きく移動したことを示す出来事だ」とし、「特に、これまでの韓日経済の歴史に照らしてみた時、象徴的な意味合いがある」と語った。

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