25日にオープンした書店「平山書房」は、文氏が8億5000万ウォン(約8530万円)で購入した私邸近くにある一戸建てをリフォームしてオープンさせた。文氏は書店オープンの狙いについて、昨年12月の韓国紙・ハンギョレ新聞などとのインタビューで「平山村は静かで美しい田舎なのに、私が私邸をここに定めたことでデモによる騒音と罵詈(ばり)雑言が村を覆ってしまい、住民たちは精神的に途方もないストレスを感じている。食堂やカフェ、店をやっている方々が被害に遭うのを見て、私にお手伝いする方法はないか悩んだ末、村の本屋をやることを考えるようになった」と語っている。
また、文氏は読書家としても知られ、退任後にはSNSで読んだ本のレビューを度々投稿。最近では、ミョンジ(明知)大学のユ・ホンジュン教授の「私の文化遺産踏査記」を推薦した。文氏は「30年間、人文学の一つのテーマで20冊まで著述されたのは大きな業績」と著者のユ強教授をたたえた。
文氏は昨年の退任前、その後の生活について「政治には関与せず、普通の市民として生きる。近くにある寺に行ったり、アルプスに登ったり、家庭菜園の手入れをしたり、犬や猫、ニワトリを飼ったりしながら暮らすつもりだ」と話していた。「忘れられた人になりたい」とも語り、注目を浴びることなく一般人同様の生活を希望していた。
しかし、梁山市に新築した私邸の周辺では、退任直後から保守系団体などが文前政権を批判する集会を展開。文氏はもとより、地元住民たちも連日、騒音に悩まされることとなった。
それでも徐々に、思い描いていた平穏な暮らしが送れるようになったのか、SNSでは畑仕事をする様子や、飼い犬との暮らしなどを投稿するようになっていった。
そんな中、昨年12月、文氏は出版社のハンギル社の代表とのインタビューで「本屋づくりの構想」を明らかにした。今月25日には書店の看板の上掲式が開かれた。文氏は「住民たちの文化空間となり、憩いの場になることを期待する」とオープンを喜んだ。
文氏は今後、この書店を本を通じた人々の交流の場としたい考えという。作家と読者が対話をする場を設けるほか、近くにある寺と連携して歴史と文化をテーマとした勉強会の開催、地元の陶磁器の作陶家を講師に招いて陶器づくりの体験プログラムを開催することも計画しているという。文氏自身も店頭に立つ予定。
一方、この書店オープンが政治活動再開の布石ではとの憶測も出ている。韓国紙の毎日経済は文氏がかつて「忘れられた人生を生きる」などと話していたことを引き合いに「誰も彼に『忘れられた人生を生きよ』と強要したことはない。言葉にしなくても行動で見せればいいことだ」と批判。その上で「過去の活動家が学校周辺に本屋を出してそこをアジトにしたように、親文派(文氏に近い政治家ら)の拠点になることが濃厚だ」と懸念を示し、「彼の側近、民主党の政治家たちはもちろん、いわゆる『文派』などの支持層が聖地巡礼のように大挙してこの本屋に集まるのは明らかだ」と指摘した。
既に、先週には「共に民主党」議員や党員らが文氏のもとを訪ねている。文氏は訪ねてきた議員らに「村の本屋、村の図書館としての役割だけでなく、遠くからやって来る党員同志、支持者たちと会える場にもなる」とも話したという。
文氏が今後、どのような動きを見せるのか注目される。
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