<W解説>日韓の経済関係の懸案、ようやく解決の見通し=韓国が「ホワイト国」に4年ぶりに復帰へ(画像提供:wowkorea)
<W解説>日韓の経済関係の懸案、ようやく解決の見通し=韓国が「ホワイト国」に4年ぶりに復帰へ(画像提供:wowkorea)
経済産業省は先月28日、輸出手続きを簡略化する優遇国「グループA(ホワイト国)」に韓国を復帰させると発表した。今後、今月末まで国民から広く意見を募集した上で、閣議決定を経て正式に決定する見通し。この発表について、韓国産業通商資源部(部は省に相当)は同日、「歓迎する」との立場を示した。

 この問題の発端は2019年7月、当時の安倍晋三政権が韓国向け半導体素材3品目の輸出管理厳格化を発動したことだ。3品目はフッ化水素、フッ化ポリイミド、レジストで、いずれも韓国の主力産業である半導体の生産に不可欠でありながら、日本企業が世界的に大きなシェアを握っている素材だ。さらに日本政府は同年8月、貿易上の優遇措置を適用する優遇国「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定した。

 日本は貿易管理の体制整備や運用が適切に行われていると認めた米国や英国などの26か国を「優遇国」に指定し、輸出許可手続きを簡略化している。経済産業省は当時、韓国を優遇国から除外した理由について、貿易管理に関する審査などの体制が不十分なことや、問題解決に向けて情報を交換するための局長級の政策対話が長期間開かれていないことなどを挙げた。しかし、これまで日韓の懸案となってきた元徴用工問題をめぐり、当時のムン・ジェイン(文在寅)政権が具体的な対応を示さないことへの事実上の対抗措置だったとの見方もあった。

 一方、韓国も2019年9月、日本の輸出規制に対抗する形で、日本を「ホワイト国」から除外した。また、日本の措置は不当だとしてWTO(世界貿易機関)に提訴した。

 潮目が変わったのは韓国政府が先月、元徴用工問題の解決策を示したことだった。これを受け、今年3月に行われた日韓首脳会談で、両国の関係正常化に合意。両国の貿易管理当局は互いの国を優遇国に復帰させるための政府間協議を再開していた。また韓国は3月、WTOへの提訴を取り下げたほか、先月24日には日本を優遇対象国に再指定した。

 そして先月28日、経済産業省は韓国側の輸出官営制度の実効性や、北朝鮮など軍事転用の懸念がある国に物資を迂回して輸出させないための対策を確認できたとして、韓国を優遇国に復帰させると発表した。西村康稔経済産業大臣は記者団に対し「現地で厳格な検証を行った結果、審査の担当課が新設され、人員が増員されるなど、輸出管理の体制が強化されたことが確認できた」と述べた。

 日本政府の発表を受け、韓国の産業通商資源部は「今後の関連手続きの早期完了を期待する。今後も韓国政府は、韓日間の輸出管理をめぐる政策対話で構築された信頼関係を土台にして、日本側と多様な懸案をめぐる協力をさらに強化していく」とコメントした。

 日本政府は今後、意見公募を経て、韓国を優遇国に再指定する政令を閣議決定するが、経産省は、韓国を優遇国から外した後も安全保障上の懸念がない場合は輸出を認めていたため、再指定に伴う対韓輸出への影響は限定的とみられている。

 今回の日本政府の発表について、韓国メディアはどのように報じているのか。中央日報は「4年ぶりに両国間の輸出手続きが正常化する見込みだ」と伝えた。

 朝鮮日報は「韓国大法院(最高裁)の日帝強占期徴用被害者賠償判決(元徴用工訴訟)をめぐる対立の余波で4年近く続いた韓日両国間の経済・安全保障制裁は、これで全て解かれた」とした上で「ムン・ジェイン(文在寅)政権と安倍晋三政権の間で始まった対立により最悪へと至った韓日関係が再び正常化の軌道に乗ったと受け止められている」と伝えた。

 聯合ニュースも「日本が韓国を『グループA』に再指定する手続きを終えれば、輸出規制をめぐる両国の軋轢(あつれき)は表面的には解消される」と報じた。その上で「『韓米日3か国の協力強化』の必要性を強調した韓米首脳会談(米現地時間先月26日)の直後に日本が今回の再指定に向けた手続き開始を発表したことも注目に値する」と指摘した。韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領と米国のバイデン大統領は首脳会談後に発表した共同声明で「共通の価値に従い、改革を原動力とし、共同の繁栄と安全保障に対する意思に基づいた韓米日3か国の協力の必要性を強調した」と述べている。このことから聯合は「韓米の首脳が『韓米日の協力強化』を確認したことに対して、日本が『韓国の優遇国再指定』で呼応したと見ることもできる」と解説した。

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