<W解説>韓国で日本政府への批判が高まる中での岸田首相訪韓=政治状況踏まえ首相への警護は最高レベル(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国で日本政府への批判が高まる中での岸田首相訪韓=政治状況踏まえ首相への警護は最高レベル(画像提供:wowkorea)
今月7日から1泊2日の予定で韓国を訪れる岸田文雄首相の警護が、最高レベルに引き上げることになった。韓国では歴史問題などをめぐり日本政府を批判する声が根強く、聯合ニュースは「内外の政治状況を踏まえた決定とみられる」と伝えた。

日本の首相の訪韓は、2018年2月に当時の安倍首相がピョンチャン(平昌)冬季五輪を機に韓国を訪問して以来、5年3か月ぶりとなる。岸田首相は7日にソウル・ヨンサン(龍山)の大統領室でユン・ソギョル(尹錫悦)大統領と首脳会談を行うことにしており、安全保障や先端産業、若者の交流などについて協議する。会談後には共同記者会見が予定されている。

今回の岸田首相の訪韓により、両国首脳が相互訪問する「シャトル外交」が再開されるものと期待されている。日韓シャトル外交とは、日本の首相と韓国の大統領が年1回相互訪問し、両国間の課題を話し合おうというもの。当初はリゾート地のようなところで気軽に行うことを目的とし、2004年7月、韓国の済州島で当時の小泉純一郎首相とノ・ムヒョン(盧武鉉)大統領との間で実施された。両首脳はその後、2004年12月に鹿児島県指宿市、2005年6月にソウル市で会談を行ったが、小泉氏の靖国神社参拝が韓国で反発が強まり、日韓関係の悪化を受けて一旦廃止された。その後、2008年にイ・ミョンバク(李明博)大統領と福田康夫首相の間で復活するも、2011年12月に京都で行われた李氏と野田佳彦首相との間で行われた会談で、慰安婦問題をめぐる応酬となり、以後断絶した。パク・クネ(朴槿恵)大統領は訪日せず、ムン・ジェイン(文在寅)大統領は安倍晋三首相と再開に合意したが、本格的な実現には至らなかった。

日韓関係はこれまで長く冷え込み、「シャトル外交」が中断していたのもそのためだが、昨年5月、日韓関係改善に意欲を見せる尹大統領の就任で潮目が変わった。今年3月、日韓最大の懸案だった元徴用工問題について韓国政府は解決策を発表。これを受けて同月には尹大統領が来日して首脳会談が行われた。韓国の大統領が日本を訪問して首脳会談を行うのは国際会議に合わせたものを除けば2011年以来、約12年ぶりのことだった。会談で両首脳は長く途絶えてきた相互訪問「シャトル外交」を再開させることで一致していた。

そして今月7~8日の日程で、岸田首相が韓国を訪問することが決まった。岸田首相は「激変する国際情勢について、腹を割った意見交換を行う良い機会になると期待している」と話している。

岸田首相の訪韓が決まるや、歴史問題などで日本の謝罪や賠償を求める市民団体や野党「共に民主党」などは、対日関係改善を進める尹政権に対して批判の声を上げている。4日にはソウルの国会前で会見を開き、日本に対し元徴用工問題での謝罪を要求。また、間もなく予定されている東京電力福島第1原発の処理水放出について中止を訴えた。さらに、尹政権に対し「屈辱外交を中止せよ」などと求めた。

日本への反発が韓国内で依然、根強くある中で岸田首相が訪韓することから、不測の事態に備えて、岸田首相の韓国滞在中の警護が最高レベルに引き上げられることとなった。また、聯合ニュースは「日本では安倍晋三元首相が銃撃され死亡し、岸田首相の演説会場に爆発物が投げ込まれる事件も起きており、特に警護の強化が要求されたようだ」と伝えた。

大統領室などが明らかにしたところによると、韓国軍や警察からなる警護当局は、指揮命令系統を大統領警護処(庁)に一本化し、警護区域の外に別途、治安強化区域を設定するなど、総力をあげての警護体制を敷くという。

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