今回のセミナーには、世界貿易機関(WTO)のオコンジョイウェアラ事務局長が出席した。WTO事務局長が訪韓したのは、2014年に訪れたロベルト・アゼベド前事務局長以来10年ぶりのことだ。同セミナーにはその他にも大韓商工会議所のウ・テヒ(禹泰熙)常勤副会長、産業通商資源省のアン・ドクグン(安ドク根)通商交渉本部長、SKスクエアのキム・ジョンイル(金正鎰)副社長、ポスコのキム・ギョンハン副社長など約200人が出席した。
禹常勤副会長は開会の辞で、「WTOは上級委員会の改革やサプライチェーン再編の対応、水産補助金交渉の批准など解決しなければならない多くの課題がある」とし、「これまで多国間貿易体制を代表したWTOの最も大きな支持国である韓国と共に、協力して自由貿易の復活を成し遂げてほしい」と述べた。
基調講演を行ったオコンジョイウェアラ事務局長は、「グローバル化の後退の中、貿易を通じて経済大国に成長した韓国の経験は、多国間貿易体制回復の重要性を証明する」と強調した。そして、「韓国が多国間貿易体制の回復に向け、積極的な役割を果たすよう願っている。それと同時に、WTOとの協力を一層深めてほしい」というメッセージを伝えた。
その後のパネル討論では、多国間貿易体制の回復に向けたWTO改革の課題に対する意見が提示された。
ソウル大学のイ・ジェミン教授は「米中葛藤で発生した関税措置や技術競争など、保護貿易主義はインフレ削減法や半導体支援法など産業政策につながっている」として、「WTOレベルで積極的な対応が必要であり、多国間主義を復元し発展させるのに障害物を解決してほしい」と求めた。
SKスクエアの金副社長は、「最近一連の地政学的課題やコロナパンデミックなどの状況変化により、グローバルサプライチェーンが急激に再編されている」として、「これによって企業の追加的な費用が増加し、不確実性が高まっている。WTOで自由貿易とビジネスの信頼を回復するための措置が必要だ」と強調した。
ポスコの金副社長は、「気候変化に対応するために企業は炭素排出を減らす努力をしている。しかし、カーボンニュートラル(炭素中立)のための措置が、また別の貿易障壁として悪用されかねない憂慮がある」とし、「炭素通商措置により貿易交流が萎縮しないよう、WTO協定に基づいたより積極的な解決策が必要だ」と述べた。
最後に国立外交院のイ・ヒョヨン教授は、「WTO改革を通じて多国間体制の機能回復が望まれている。それで、補助金や貿易救済など貿易規範改善のために段階的かつ代案的なアプローチ方法が必要だ」とし、「特に、多国間貿易をより効率的にするためには、パネルプロセス改善など紛争解決システムが適切に機能できる改革が必要だ」と述べた。
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