<W解説>ようやく引き揚げに成功した北朝鮮のロケット残骸、今後の分析で解明が期待されることは?(画像提供:wowkorea)
<W解説>ようやく引き揚げに成功した北朝鮮のロケット残骸、今後の分析で解明が期待されることは?(画像提供:wowkorea)
韓国軍は今月15日、北朝鮮が先月打ち上げたものの失敗し、ファンヘ(黄海)に落下した「軍事偵察衛星」の発射体の残骸を引き揚げた。残骸は先月31日の発射直後から、軍が回収作業を進めていた。今後、国防科学研究所などの専門機関が残骸の詳しい分析を進める。

DIA の最新ニュースまとめ

北朝鮮は先月31日午前6時27分、北西部ピョンアンプクト(日平安北道)のソヘ(西海)衛星発射場から軍事偵察衛星「マンリギョン(万里鏡)1」を乗せたロケット「チョンリマ(千里馬)1」を発射した。北朝鮮の「衛星」打ち上げは2016年2月以来のことだった。これに先立ち、北朝鮮は、先月31日から今月11日の間に黄海、東シナ海、フィリピン北部のルソン島の東方面に「衛星ロケット」を打ち上げると先月、国際海事機関(IMO)に予告していた。予告期間の初日に打ち上げに踏み切ったが、発射体は1段目の分離後、2段目のエンジン点火に失敗し、韓国西部のチョルラプクト(全羅北道)・オチョンド(於青島)の西約200キロの海上に落下した。北朝鮮は、朝鮮中央通信を通じ、打ち上げは失敗したと発表した。

一方、日米韓は対応に追われた。韓国政府は発射当日の午前、国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開き、「国連安全保障理事会決議の重大な違反であり、朝鮮半島と国際社会の平和と安全を脅かす深刻な挑発だ」と批判した。

日本政府は一時、全国瞬時警報システム(Jアラート)を発令し、沖縄県に非難を呼びかけたが、約30分後に日本には飛来しないと発表し、避難指示を解除した。

米ホワイトハウスのNSC(国家安全保障会議)の報道官は声明を発表し、「北朝鮮の弾道ミサイル技術を使った発射を強く非難する。これは国連安全保障理事会の決議に真っ向から違反した行為で、緊張を高め、地域と世界の安全保障環境を不安定にする危険性をはらんでいる」と非難。その上で、「北朝鮮は直ちに挑発的な行動をやめ、対話の道を選ばなければならない。米国は国土の安全と同盟国の日本や韓国の防衛を確かなものにするために必要な全ての措置を講じる」とした。

韓国軍は打ち上げから約1時間半後、落下地点で発射体の残骸とみられる物体を見つけ回収作業に着手した。しかし、残骸は重量があり作業は難航。海軍の潜水隊員も投入されたが、円筒形の残骸は表面が滑りやすく、ワイヤーの固定が難しいため引き揚げ作業は時間を要した。水深75メートルの海底に沈んだ残骸に潜水士がワイヤーを取り付け、慎重に作業を進め、残骸発見から15日後の今月15日夜、ようやく引き揚げに成功した。

韓国軍関係者によると残骸は長さ15メートル、直径2~3メートル。3段式ロケットの2段目の部分とみられている。韓国軍が公開した写真では、表面に「天馬」と記載されているのが確認できる。しかし、北朝鮮が搭載したと主張している軍事偵察衛星とロケットの1段目、3段目は現在のところ見つかっていない。韓国軍は引き揚げた物体をソウル郊外・ピョンテク(平沢)の海軍第2艦隊司令部に移した。

韓国軍は今後、米国と共同で残骸の調査を進める方針。米韓は今月上旬にシンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ)会合で、残骸を共同調査することで合意した。衛星の打ち上げと大陸間弾道ミサイル(ICBM)などの発射に必要な技術はほぼ共通しているといい、残骸を調べることで北朝鮮のICBM開発の進展状況などを知ることができる可能性がある。聯合ニュースによると、共同分析には韓国側から国防部、合同参謀本部、海軍、国防科学研究所(ADD)などの専門家が参加し、米国側からは国防総省傘下の国防情報局(DIA)などをはじめとする複数の機関の関係者が参加するという。

Copyrights(C)wowkorea.jp 3