農林畜産食品部のキム・ジョンヒ食糧政策室長は20日、ソウル市ヤンジェ(良才)洞の韓国農水産食品流通公社(aT)センターで開かれた「牛乳等農食品物価管理方案」の記者懇談会で、「2022年の秋夕(旧暦の8月15日)以降、農畜水産物の物価は下落傾向を示しており、先月は前年に比べ1.4%の上昇にとどまるなど安定的に推移している」と述べ、「畜産物は供給余力が十分にあり、野菜や果物類も割り当て関税などを通じて過去最高レベルの政府備蓄を行ったことにより、物価に与える影響は限定的とみられる」と明らかにした。
しかし、加工食品や外食物価が依然として高止まりしており、消費者が直接体感する物価負担は大きい状況だ。韓国統計庁によると、5月の加工食品と外食物価の上昇率はそれぞれ7.3%と6.9%と集計された。今年の2月(10.4%、7.7%)に比べると上昇幅はやや鈍化したが、依然として高い水準を維持している。世界での原材料価格が大幅に上昇した影響を大きく受けた格好となった。
韓国政府は食品・加工業界の原材料負担を解消するために全方位的な政策を展開している。砂糖やポテトチップ用ジャガイモなど主要な食品原材料(36種)に対しては、今年末まで割り当て関税が適用される。またコーヒー生豆に対しては年末まで10%の輸入付加価値税を免除し、原料買い入れ資金の支援など税制・金融支援も継続する。また、四半期ごとに定例懇談会を行い、物価安定に向けた協力を要請する計画だ。
問題は高い人件費や公共料金などの費用上昇が複合的に価格上昇に影響している点だ。農林畜産食品部の「外食業実態調査」によると、外食業の営業費用で食材費が占める割合は41%で、その他に人件費34%、賃借料10%、税金7%、手数料8%などが占める。食品業界も原材料費と電気料金、人件費が大幅に上昇し、値下げは難しい。
韓国政府は人件費の負担を減らすために外国人の人材雇用規制の緩和などを推進中だ。今年の初めからは中小・非首都圏の食品製造業者の外国人人材雇用限度をそれぞれ20%緩和し、総雇用許容人員内の新規雇用許可限度を廃止した。先月には訪問就業外国人(H-2ビザ)の就職許容業種を「飲食店および酒店業」全体に拡大し、在外同胞(F-4ビザ)の飲食店での就業制限を解除した。それでも外食業界の人件費は最低賃金より56%高い1万5000ウォン(約1646円)水準と高止まりしていることが分かった。
食品物価の上昇が長期化する懸念も大きい。根源物価は季節的要因の影響を受ける農産物や、一時的な外部からの影響により価格が急騰・急落する石油類などを除いた物価を指す。先月の消費者物価上昇率は3.3%と低くとどまったが、根源物価上昇率は3.9%と依然として高かった。
ヨンセ(延世)大学経済学科のキム・ジョンシク教授は「物価は依然として不安定」と述べ、「賃金の上昇が止まらなければならないのに、前政権当時に上昇した住宅価格などの影響により、物価が安定するまでにはかなり時間がかかるだろう」と述べた。
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