ソンジュン の最新ニュースまとめ
海洋放出計画に韓国野党の反発や、韓国国民の不安が高まる中、5月に開かれた日韓首脳会談で、岸田文雄首相とユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は、韓国の専門家らによる視察団を日本に派遣し、現地を視察させることで合意した。これに基づき、韓国は原発や放射線の専門家ら計21人で構成する視察団を編成し、5月に来日。福島第一原発を訪れ、処理水を薄める設備や海への放出に使う設備のほか、処理水に含まれる放射性物質を分析する施設を確認するなどした。また、経済産業省や原子力規制委員会の担当者らと会合も行った。視察団は5月31日、ソウル市内で記者会見し、視察結果について発表した。視察団の団長を務めた韓国原子力安全委員会のユ・グクヒ委員長は「設備が計画通り設置されていることが確認でき、必要な処理水のデータも入手できた」と視察の意義を強調した。
今月4日にはIAEAが放出計画に関する包括報告書を公表。「放出に対する日本の取り組みは国際的な安全基準に合致している」と結論づけた。これに対し韓国政府は、報告書が示した結論を尊重する立場を示した。しかし、放出に一貫して反対の立場の野党「共に民主党」は「IAEAの報告書は汚染(処理)水海洋投棄の免罪符になり得ない」と強調した。同党のパク・ソンジュン報道官は「核廃水放出はあくまで日本の決定であり、自分たちは何の責任もないというのがIAEAの立場」と指摘。報告書についても、「不十分な検証結果に基づき、中身がない」と痛烈に批判した。
同党は6日夜から7日にかけて、国会議事堂前で海洋放出に反対する徹夜の座り込みを行った。しかし、韓国紙の中央日報が伝えたところによると、所属議員167人のうち集まったのは120人で、開始から1時間も過ぎないうちに席を立つ議員が続出したという。同紙は「携帯電話を取り出して電話をしたり本を読んだりする議員もいた」と伝えている。結局、座り込みは7日午前0時ごろから4組に分けて2時間ずつリレー方式で行うことに変更したという。一連の様子からは、海洋放出の阻止に党が必ずしも一枚岩ではない印象を受ける。
同じく野党の進歩党は今月3日、海洋放出に反対するため日本を訪れたが、訪日前にインチョン(仁川)国際空港で記者会見を行った際、掲げたプラカードの日本語訳が誤訳だったと指摘された。プラカードには「汚染水を海に投棄するな」とすべきところを、「汚染水の海に投棄 痩(や)せて」と表記されていた。翻訳機にかけた際、韓国語で「するな」という意味の「マルラ」を、同じハングル表記の「痩せて」と誤訳されたことが原因とみられる。同党の議員たちは、日本の首相官邸前で行ったデモでは、作り直したプラカードを掲げた。しかし、与党からは「国際的な恥さらし」などと批判の声が上がった。
海洋放出をめぐる論争は海外在住の韓国人研究者からも懸念の声が上がっている。朝鮮日報によると、5日にソウル市内で開かれた「世界韓人科学技術人大会」に出席した海外在住の韓国人識者からは「先進国の政治家たちは科学的事実を政争の具にしない」「社会的論争や議題を科学的なデータに基づいて公論化し、合意を導き出すのが常識的なやり方だ」と口をそろえたという。
前述のように韓国政府としては7日、海洋放出計画の安全性に関する独自の検討結果を発表し、放出に一定の理解を示した。野党は今後も批判一辺倒で貫くつもりなのか。政争の具にしているとも取れる批判ありきの姿勢では、国家としての品格まで問われることになる。
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