<W解説>福島原発処理水の海洋放出開始の日程、韓国原子力学会幹部からも「遅らせるべきでない」との指摘(画像提供:wowkorea)
<W解説>福島原発処理水の海洋放出開始の日程、韓国原子力学会幹部からも「遅らせるべきでない」との指摘(画像提供:wowkorea)
東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出計画をめぐり、韓国国内で依然、懸念の声が根強くある中、韓国原子力学会のチョン・ボムジン首席副会長は、放出時期について、日本政府は遅らせるべきでないとの立場を示した。韓国では放出に激しく反発している最大野党「共に民主党」などが計画の撤回を求めている。しかし、日本政府はかねてから夏ごろに放出を始めるとしており、福島民友新聞が8日に伝えたところによると、政府内では8月下旬とする案が浮上しているという。

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原発処理水をめぐっては、日本政府が2021年4月、放出の方針を閣議決定した。韓国政府は当時「日本政府からの事前協議がなく、日本側が一方的に決定したもので遺憾だ」と批判した。

韓国野党の反発や、韓国国民の不安が高まる中、5月に開かれた日韓首脳会談で、岸田文雄首相とユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は、韓国の専門家らによる視察団を日本に派遣し、現地を視察させることで合意した。これに基づき、韓国は原発や放射線の専門家ら計21人で構成する視察団を編成し、5月に来日。福島第一原発を訪れ、処理水を薄める設備や海への放出に使う設備のほか、処理水に含まれる放射性物質を分析する施設を確認するなどした。また、経済産業省や原子力規制委員会の担当者らとの会合も行った。

韓国政府は今月7日、独自の検証結果を公表した。計画は「国際原子力機関(IAEA)などの国際基準に合致することを確認した」とし、海洋放出に一定の理解を示した。

また、これに先立ち、今月4日にはIAEAが放出計画に関する包括報告書を公表。「放出に対する日本の取り組みは国際的な安全基準に合致している」と結論づけた。日本政府としては、国際機関の「お墨付き」を放出計画の後ろ盾にしたい考えだ。

しかし、国際機関の判断をもってしても「共に民主党」など韓国野党は放出計画を批判しており、IAEAの包括報告書について「不十分な検証結果に基づき、中身がない」とし、「汚染(処理)水海洋投棄の免罪符になり得ない」と強調した。同党のパク・ソンジュン報道官は「核廃水放出はあくまで日本の決定であり、自分たちは何の責任もないというのがIAEAの立場」と非難した。

IAEAのグロッシ事務局長は同党の招きで7日に韓国を訪れ、包括報告書について説明した。これに対し、同党議員は「最初から中立性や客観性を失い、日本側に偏って検証を行った」などと改めて報告書を批判した。

10日には同党と無所属の国会議員10人からなる議員団が訪日し、東京の首相官邸前で放出の撤回を求める集会を開いた。

一方、岸田首相は7日、記者団の取材に「引き続き安全性の確保や風評対策について国内外に丁寧に説明する。放出時期は夏ごろの方針に現在、変更はない」と述べた。

今後、放出開始の具体的な日程がいつになるのかについて、福島民友新聞は8日、8月下旬とする案が政府内で浮上していることが分かったと伝えた。同紙によると、今後の政治日程などで流動的な面が残るものの、政府内では、岸田首相が関係閣僚会議を開いた上で、周知時期を設けて放出を始める段取りを想定しているという。

放出時期をめぐっては、日本の政界内でさまざまな意見があり、公明党の山口那津男代表は今月2日、「いたずらな不安を招かないように配慮があってしかるべきだ。(海水浴の)シーズンにわざわざ排出する理由も特にない」と述べた。この発言には与野党から批判の声が上がり、共産党の小池晃書記局長は「『海水浴シーズンは避ける』ということは、結局、安全ではない、問題があるということを認めることになる」と指摘した。山口氏は4日の記者会見で2日の自身の発言の意図について、「(安全性について)内外に周知徹底を図る時間の余裕を考えて申し上げた」と説明した。

また、産経新聞によると、韓国原子力学会のチョン・ボムジン首席副会長は同紙の取材に、日本政府は放出を遅らせるべきではないとの考えを示した。チョン氏は「万一、いかなる科学的な理由もなく政治的な理由のみで放出を遅らせるならば、むしろ(反対勢力の)攻撃本能を刺激しかねない」と指摘した。また、チョン氏は「共に民主党」など、韓国野党が放出阻止に向けた動きを活発化させていることに、「政治的な思惑から、科学的な知識なしに扇動する勢力が存在する」とし、「反日感情と科学を混同する必要は全くない」と強調した。

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