日中韓サミットは1999年に当時の小渕恵三首相の提唱により、フィリピンでの国際会議に合わせて初めて開催された。2国間に懸案があっても政治や経済など幅広い分野で対話を重ね融和を図る目的がある。2008年からは3か国の持ち回り開催となった。
2019年は12月に中国の四川省・成都で開かれ、北朝鮮への対応で緊密に連携していくことで一致。東アジア地域包括的経済連携(RCEP)や日中韓自由貿易協定(FTA)など自由貿易を推進していくことも確認した。
しかし、翌2020年は新型コロナウイルスの感染拡大、日韓関係の悪化などから見送られた。2021年、2022年も開催されることはなかった。現在、日韓関係は改善が進んでいるものの、中韓関係が冷え込んでおり、日中韓3か国首脳がそろって会談という雰囲気にならないのが現状だ。
今年3月、岸田文雄首相は、来日した韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領との共同記者会見で「ハイレベルの日韓中プロセスを早期に再起動する重要性で一致した」と述べ、日中韓サミットの再開に意欲を示した。
だが、このところ、中韓関係が冷え込んでいる。先月、ケイ海明駐韓中国大使が、ソウルの大使公邸で韓国最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)代表と面会した際の発言が物議を醸し、両国の関係はさらに悪化することとなった。ケイ大使は、北東アジア情勢や韓中関係について意見交換した際、「韓国には中国との関係において外部の妨害から抜け出すことを願う」とし、韓米関係、日米韓3か国協力を重視する韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)政権の外交政策をけん制。「一部では米国の勝ち、中国の負けに賭けている。誤った判断であり、後で必ず後悔する」と述べ、米国の圧力といった外部の干渉によって誤った判断をしないよう警告した。外国の大使が駐在国の政府を露骨に批判するのは異例で、韓国内では反発が強まった。
発言を受け、韓国外交部(外務省に相当)のチャン・ホジン第1次官は、ケイ大使を外交部に呼び、強い遺憾の意を表明。「事実と食い違う内容や黙認できない表現でわが国の政策を批判した。これは(外交使節の友好関係促進業務を定めた)ウィーン条約と外交的な慣例に反するのはもちろん、韓国内の政治に介入する内政干渉になりかねない」と指摘した。
また、外交部のパク・チン長官(外相)も「外交慣例というものがあり、大使の役割は友好を促進させることであって、誤解を広めてはならない。(ケイ氏の発言は)度を越した」と強く批判した。
さらなる関係悪化を懸念してか、中国共産党の機関紙、人民日報は先月27日、「中国は韓国との関係を重視し、発展させるという基本的立場に変わりはない」とする中国外交部の毛寧報道官の発言を見出しにした記事を掲載した。同紙が報道官の韓国についての発言を記事として掲載するのは約2か月ぶりのことで、その意図が注目された。
ASEAN関連の閣僚会合に出席するためインドネシアのジャカルタを訪れた韓国の朴外相は14日、中国外交担当トップの王毅共産党政治局員と会談した。王氏は秦剛外相の代理として現地を訪れた。朴外相は会談で、中国側に、相互尊重に基づく健全な両国関係の発展に向けて双方が共に努力するよう呼びかけたものとみられる。
また、朴外相は13日のASEANプラス3(日中韓)外相会議で、同席した王氏と林芳正外相を念頭に「ここにいる2人の友人と緊密に意思疎通し、今年末の3か国首脳会議(日中韓サミット)の再開を目指す」と表明した。これに対し、王氏は「東アジア3か国は域内主要国として共通の課題に対応するため、連帯を強化し、経済的に協力しなければならない」と述べた。王氏の言葉からは、中国としても日韓を自国側に引き寄せたい思惑もにじむ。2019年以来となる日中韓サミットは実現するか。
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