「ケンタッキー」は世界最大級のSSBNで、最大射程約1万2000キロの弾道ミサイルを20基ほど搭載できる。韓国への寄港は、今年4月の米韓首脳会談での両国の合意に基づくもの。
米韓両政府が核抑止について協議する「核協議グループ(NCG)」の初会合のためソウルを訪れた米国家安全保障会議(NSC)のキャンベル・インド太平洋調整官は18日、SSBNの釜山入港について「韓国を防衛する米国の意志と公約を目に見える形で示すものだ」と強調した。
釜山港に停泊した「ケンタッキー」を19日に視察した尹大統領は自ら乗艦し、「現存する最も強力な戦略兵器の一つである米SSBN『ケンタッキー』の入港は意義深く、心強い」とし、「ケンタッキーの展開は、米国の戦略兵器を定例的に展開し、拡大抑止の実行力を守るための韓米両国の意志を示すもの」と強調。その上で、「韓米両国は、今後も核協議グループ、SSBNなどの戦略兵器の定例的な展開を通じて、高度化している北朝鮮の核・ミサイルの脅威に圧倒的かつ断固として対応していく」と述べた。
一方、北朝鮮は19日午前3時半ごろ、首都ピョンヤン(平壌)郊外のスナン(順安)付近から日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射した。ミサイルは、いずれも最高高度約50キロで、約550~600キロ飛翔し、日本の排他的経済水域(EEZ)外に着弾したと推定されている。SSBNの釜山入港と、NCGの初会合への反発とみられている。
また、北朝鮮のカン・スンナム国防相は20日、国営の朝鮮中央通信を通じて談話を発表。SSBNの釜山入港について「40数年ぶりに朝鮮半島地域に戦略核兵器を展開する最も露骨で直接的な核脅威を加えた」と非難。「米国のわが国への核攻撃の企てと実行が明らかになり、朝鮮半島での軍事的激突の局面が現実として浮上している」と警告した。
南北が合意した「朝鮮半島非核化宣言」の第1項は「南北は核兵器の試験、製造、生産、受け取り、保有、貯蔵、配備、使用を行わない」と規定しており、今回のSSBNの釜山入港は同宣言に違反するのではないかとの指摘も出ている。
これに、韓国国防部(部は省に相当)は19日、「法的検討の結果、違反しないと考えている」との見解を示した。
国防部の見解について、韓国紙のハンギョレ新聞は「SSBNの一時的な入港は非核化宣言違反ではないとの判断に基づいたものだ。具体的には、SSBNの釜山機構が朝鮮半島非核化宣言の第1項と接触しうる部分である『受け取り』、『貯蔵』、『配備』には当たらないというのだ。(中略)今回は米海軍のSSBNが釜山作戦基地の港に『寄港』したとはいえ、核兵器を韓国の地に下ろさずそのまま持ち帰るのだから『受け取り』ではないということだ」と解説した。その上で同紙は「しかし、核兵器を搭載した米国のSSBNが42年ぶりに韓国入りしたというのに、受け取りか単なる寄港かを問うのは意味のない言葉だけの論争だとの指摘もある。今後、SSBNなどの核武装が可能な米戦略資産がより頻繁に、かつ周期的に朝鮮半島に来ることになれば、それは『配備』に近いという解釈が可能になるからだ」とし、国防部の見解を疑問視した。
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