韓国の警察庁は23日、最初の通報があった20日から23日午前5時までに1904件の同様の通報があったことを明らかにした。
最初に通報があったのは南東部のウルサン(蔚山)市にある障害者福祉施設からで、同施設に心当たりのない黄色い小包が届いた。小包を開けた職員ら3人はめまいや呼吸困難を訴え緊急搬送されたが、命に別状はないという。また、警察が簡易検査を行ったところ、化学物質などは検出されなかった。同様の通報は、南部のプサン(釜山)やチェジュ(済州)、中部のテジョン(大田)など韓国各地で相次いでいる。通報数では、地域別にソウル近郊のキョンギド(京畿道)が604件で最も多く、以下、ソウル市が472件、南東部のキョンサンプクト(慶尚北道)が89件、ソウル近郊のインチョン(仁川)市が85件などとなっている。
韓国紙の朝鮮日報によると、これらの郵便物は台湾を発信元とする黄色、または黒い封筒に入れられている点が共通している。送り状のステッカーには上段に「CHUNGHWA POST」と記載され、発信元の欄には「P.O.Box 100561-003777,Taipei Taiwan」と書かれていた。
また、聯合ニュースによると、中身はリップクリームなどの低価格商品で、空の場合がほとんどだという。
各地で混乱が広がっており、21日にはソウルの中央郵便局で同様の郵便物が見つかったため、郵便局が入る建物にいた1700人が一時避難する騒ぎとなった。22日には中部のチョナン(天安)の住民に不審な国際郵便物が届いた。軍の爆発物処理班と保健所などによるX線検査で未詳のガスが検出されたと一時伝えられたが、警察が回収して調べた結果、ガスは検出されなかった。
2020年には、海外から身に覚えのない「種」が届く事案が日本や米国、カナダ、英国で続出した。当時、SNS上では「細菌やウイルスに感染させるバイオテロ」「個人情報の取得が目的か」などとさまざまな憶測が飛び交った。
その後、これらはブラッシング詐欺であることが判明した。ブラッシング詐欺は、ネット通販サイトの出品者が行う詐欺手法の一つで、注文件数や高評価レビューを不当に水増しすることで、出品者としての信頼を高めて販売状況を有利にしようと企てるものだ。ネット通販サイトでは、同じような種類の商品が販売されている場合、注文件数や高評価レビューが多い商品の方が有利になる傾向にある。
ブラッシング詐欺では、出品者から依頼を受けた詐欺を実行する業者が、保有する大量の架空のアカウントを使って商品を購入。その後、高評価レビューを記入することで、その商品があたかも人気商品であるかのように見せる手口で行われる。
多くのネット通販サイトでは、実際に商品が配達されないとレビューの書き込みができない仕組みのため、業者は不正に入手した住所と架空のアカウントを紐づけ、その住所に商品を送り付ける手口を重ねているとみられる。
朝鮮日報によると、今回、韓国各地に届いている不審な郵便物の発送元は、2020年7月にカナダに送られた不審な植物の種が入った郵便物の発送元と同一で、「P.O.Box 100561-003777,Taipei Taiwan」と記されているという。しかし、韓国での台湾の出先機関にあたる駐韓台北代表部は「発送元は中国で、台湾は経由地だ」と説明している。
韓国の郵政事業本部は、類似する国際郵便物の配送を一時中断する方針を発表した。
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