<W解説>防衛省が公表した2023年版「防衛白書」、韓国の反応は?(画像提供:wowkorea)
<W解説>防衛省が公表した2023年版「防衛白書」、韓国の反応は?(画像提供:wowkorea)
防衛省は今月28日、2023年版の「防衛白書」を公表した。これを受けて韓国外交部は同日、白書で島根県の竹島(韓国名・独島)が「わが国固有の領土」と記述されたとして抗議した。外交部は報道官論評を発表し、「歴史的、地理的、国際法的に明白なわが固有の領土である独島に対する不当な領有権主張を繰り返したことに強く抗議する」とした。

防衛白書は、日本の防衛の現状と課題、取り組みについて国民に周知することを目的に防衛省が毎年発行しているもので、直近1年間の日本を取り巻く安全保障環境や防衛省・自衛隊の取り組みを中心に記載している。1970年に初めて発行され、76年以降は毎年刊行されている。

2023年版防衛白書の表紙の題字は、航空自衛隊三沢基地(青森県三沢市)第3航空団に所属の2等空曹が揮毫(きごう)したものだという。白書は「しなやかで勢いと力強さのある筆の運びにより、全自衛隊員27万人を代表し、『新たな決意』を表現した」と説明している。

23年版白書では、ロシアによるウクライナ侵略を踏まえ、国際社会について「戦後最大の試練の時を迎え、新たな危機の時代に突入しつつある」と明記した。「わが国周辺では、核・ミサイル戦力を含む軍備増強が急速に発展し、力による一方的な現状変更の圧力が高まっている」と指摘した。

ウクライナ情勢をめぐっては、ロシアが経済制裁下にありながらも「弾薬や旧ソ連時代の技術水準の装備品は今後も十分生産可能」とし、戦闘が長期化する可能性に言及。「力による一方的な現状変更は困難だと認識させる抑止力が必要」と強調した。

弾道ミサイル発射などを繰り返す北朝鮮については「より実践的な状況を連想させる形で挑発行為をエスカレートさせた」と非難した。また、関連技術の開発を「自衛的」な活動として常態化させていると指摘。「従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威」とし、緊迫度が増していると強調した。

一方、中国の軍事動向などは「これまでにない最大の戦略的挑戦」と明記し、台湾との軍事バランスが「中国側に有利な方向に急速に傾斜」していると警戒した。さらに、ロシアと中国の軍事連携に「安全保障上の強い懸念」を明記した。

また、韓国については3月の首脳会談以降、関係改善が進んでおり、自衛隊機へのレーダー照射問題では、「懸案解決のため緊密に意思疎通を図る」とした。

白書は「わが国固有の領土である北方領土や竹島の領土問題が依然として未解決のまま存在している」とも記され、韓国側はこれに反発。外交部アジア太平洋局のソ・ミンジョン局長は28日午前、在韓日本大使館の総括行使代理を務める山本文土政務公使を同部庁舎に呼び、抗議した。ユン・ソギョル(尹錫悦)政権は、日本との安全保障強化を進める一方、島の領有権をめぐっては、断固対応する立場を示している。

また、報道官論評も発表し「独島に対するいかなる挑発にも、断固として対応していく」と強調。その上で「日本政府は、不当な主張を繰り返すことが未来志向的な関係構築に役立たない点を自覚すべきだ」とした。

これに対し、松野博一官房長官は28日午後の記者会見で「竹島は歴史的事実に照らしても、国際法上も明らかにわが国固有の領土であり、韓国側の申し入れは受け入れられないと反論した」と明らかにした。その上で「竹島問題は引き続き、わが国の領土、領海、領空を断固として守り抜く決意のもと毅然(きぜん)と対応する」と強調した。

韓国の聯合ニュースは「日本政府は05年から19年連続で防衛白書に日本の独島領有権を主張する内容を掲載している」と指摘。その上で「日本による独島領有権主張は韓日両国にとって妥協できない事案ながら、今に始まった問題ではないため、両国関係には大きな影響はない見通しだ」と伝えた。

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