韓国銀行は24日、今年6月末現在で外国為替銀行の居住者による外貨預金残高が998億3000万ドルとなり、前月末に比べ30億4000万ドル増加したことを明らかにした。うち、円建て預金が12億3000万ドル増え、月別増加幅としては過去最大だった。韓国紙の朝鮮日報は「円建て預金が過去最大の伸びを示したのは、円が8年ぶりの安値水準となり、今後の、円高に振れると予想する人が多かったためだ」と解説している。
6月19日、韓国の外国為替市場では一時、「100円=897ウォン」をつけた。800ウォン台をつけるのは2015年6月以来、約8年ぶりのことだった。
こうした中、韓国紙の中央日報は、「円安と新型コロナ禍からのエンデミックで、今年上半期に日本へ旅行に行く韓国人観光客が300万人を超え、韓国を訪問した日本人の3倍を超えたことが分かった」と報じた。
韓国観光公社と日本の観光庁によると、今年上半期に日本を訪れた韓国人は312万9000人で韓国を訪れた日本人(86万2000人)の3.6倍だった。訪日韓国人は、コロナ禍の2019年上半期(386万3000人)に比べると81%まで回復した。一方、訪韓日本人(86万2000人)は2019年上半期(165万4000人)に比べて52.1%にとどまった。聯合ニュースは「韓国人をはじめとする外国人観光客が日本を多く訪れる背景には記録的な円安がある」と伝えている。
しかし、円安は韓国にとって良いことだけではない。韓国紙のハンギョレ新聞は、円安が韓国経済にどのような影響を及ぼすのか、同紙の経済担当、チョン・ナムグ論説委員による解説記事を掲載した。チョン氏は円が相対的に安くなっている理由について、「日本はマイナス金利である一方、米国は金利を引き上げ続けているからだ」と説明。「円安はもう少し進むだろうが、最終段階を迎えつつあるようだ」と分析した。
円が安いと、韓国と競争している日本企業の方が製品を輸出しやすくなるため、円安は韓国企業にとっては好ましいことではない。また、円安で日本に出かける韓国人観光客が増加することにより、韓国の経常収支が悪化する恐れがあるとの指摘も出ている。
このような懸念にチョン氏は、「韓国貿易協会が昨年5月に発表した報告書によると、韓日の『輸出競争度』(両国の輸出構造の類似度、競合関係を示す指標)は2015年の0.487から2021年には0.458になるなど低下し続けている」と指摘。「昔ほど韓日の製品が世界市場で競争することはないということだ」と解説した。その上でチョン氏は「もちろん米国の自動車市場のように、韓日の企業が激しく競争している市場もある。そのような市場では、韓国企業が円安で不利に立たされるだろうが、輸出と経済全般に大きな悪影響を及ぼすほどではない」とし、「実のところ特に対策の取りようもない。受け入れる以外にない」と結論付けた。
一方、「円安は最終段階」との見方を示したチョン氏とは対照的に、「ミスター1円」と呼ばれる榊原英資元財務官は最近、メディアとのインタビューで、現在の1ドル=140円の円安から、来年には160円を超える可能性があるとし、さらなる円安を予想した。
先月31日のソウル外国為替市場で、ウォンの対円相場は100円=899.53ウォンをつけ、先月5日以来約1か月ぶりに、またしても800ウォン台となった。
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