韓国では今月3日、韓国・ソウル市郊外のキョンギド(京畿道)ソンナム(城南)市のデパートで、男が複数の人を刃物で襲撃する通り魔事件があり、9人が負傷した。また、男はデパートで犯行に及ぶ前、軽自動車で歩道に突っ込み5人が負傷した。先月21日には、ソウルの地下鉄・シルリム(新林)駅近くで男(33)が刃物で襲撃し、4人が死傷する通り魔事件が発生。凶器を使った通り魔事件が相次いでおり、国民の不安が高まっている。海外メディアも、治安が良いとされる韓国で立て続けに通り魔事件が起きたことに注目。「異例のことだ」などと報じている。
事態を受け、韓国警察トップのユン・ヒグン(尹熙根)警察庁長は今月4日、国民向けの緊急談話を発表。再発防止に向け特別警戒活動に取り組む考えを明らかにした。尹氏は「凶器の所持が疑われる人や異常な行動をとる人に対し、法的手続きにのっとり職務質問や検査を行う」と説明した。また、ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領もこの日、国民が不安にならないよう、警察力を総動員して強力な対応を取るよう警察庁に指示した。
警察は、武装した機動隊員や装甲車を全国の主な密集地域に出動させているほか、地下鉄の駅やデパートなど人通りの多い場所に約1万2000人の警察官を配置した。警察当局は「市民が安全を実感できるまで、当分の間は対策を続ける計画だ」としている。
また、3日の事件以降、無差別襲撃や人を殺すなどとする犯行予告が韓国で相次いでいる。3日午後7時ごろには、インターネットコミュニティーサイトに「あす朝、チャムシル(蚕室)駅(ソウルの地下鉄の駅)で20人を殺す」という趣旨の書き込みがあった。カンナム(江南)駅一帯での犯行予告も相次いだ。これを受けてソウル市は4日、緊急の会議を開き、市内の人が集まる施設などの警備を強化することを決めた。
また、4日未明には、インターネット掲示板に、尹大統領へのテロを予告する書き込みが見つかり、警察が捜査に着手した。投稿者は「あす5時、尹錫悦の家の前に爆弾を設置」と投稿した上で、政府の大学入試政策のため大学修学能力試験(日本の大学入学共通テストに相当)を諦めざるを得なかったと主張し、「地獄を見せてやる」などと書き込んだ。投稿は現在は削除され、予告された日も周辺に特に異常は見られなかった。
8日には最大野党「共に民主党」の李在明代表を名指しし、「李在明を殺害しろ。9日15時34分までに殺害しなければ、時限爆弾を爆破させる」などと記された脅迫メールがソウル市の公務員らに届いたことがわかった。警察は8日、爆弾を仕掛けたとする国会図書館などを捜索したが、爆破物は見つからなかった。メールには実在する日本人弁護士の名前が記され、アカウントもこの弁護士らが所属する法律事務所と同一のものが使われていた。この弁護士が所属する東京第一弁護士会は先月からホームページ上で「弁護士や事務所の名前を使った架空請求や爆破予告のメールなどが相次いでいる」と注意を呼び掛けている。警察は何者かが盗み取ったアカウントで犯行に及んだものとみて捜査している。
犯行予告で、検挙者が相次いでおり、この2週間で50人を超えた。韓国メディアによると、特定された人物の半数以上が10代で、大半が悪ふざけの書き込みだという。
こうした中、犯行予告があった場所をネットで確認できるサイトも登場し、市民の関心が高まっているという。
また、韓国法務部は、不特定多数に対する殺人予告など公衆の生命・身体に対する恐怖心をもたらす文言を公然と掲示する行為を処罰できるよう、関連法に処罰規定を新設する考えを明らかにした。聯合ニュースによると、検察は「ネット上での殺害の脅迫は単なる『悪ふざけ』では済まない犯罪だ」とし厳しく対応する方針を示しているという。
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