<W解説>ゴタゴタが続いた韓国で開催の「スカウトジャンボリー」=閉幕後は責任のなすりつけ合い(画像提供:wowkorea)
<W解説>ゴタゴタが続いた韓国で開催の「スカウトジャンボリー」=閉幕後は責任のなすりつけ合い(画像提供:wowkorea)
韓国で開かれていたボーイスカウト・ガールスカウトの世界大会「世界スカウトジャンボリー」が11日、閉幕した。今大会は熱中症の症状を訴えた参加者が続出したほか、台風の影響で会期中に会場を変更するなど気象に振り回された。また主催者側の準備不足やずさんな運営も批判された。政界でも今大会が政争の具になっており、国会で過半数を占める最大野党「共に民主党」は国政調査も視野に追及を強める方針だ。

「世界スカウトジャンボリー」は4年に1度開かれ、今回は日本を含む150か国以上から約4万人余りが参加した。韓国での開催は1991年以来、2回目。

今月1日、南西部・チョルラプクト(全羅北道)のセマングムで開幕したが、記録的な猛暑で熱中症の症状を訴える参加者が続出する事態となった。記録的な猛暑に加え、現場は干拓地で、日陰となる場所が少ないことも影響したとみられている。英国や米国、シンガポールは安全面への懸念から大会途中で現地から早期撤収した。

こうした事態に政府は対応に乗り出し、ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は4日、休憩用の冷房付きバスや、冷水を提供できるトラックを供与し、食事の量や質も改善するよう緊急の指示を出した。しかし、運営側は、大会自体は続行する方針を示し、野党などから批判が相次いだ。「共に民主党」のパク・グァンオン院内代表は4日、政府に対して「ジャンボリー大会の期間を縮小するか、中断するか、緊急に検討して対応してほしい」と求めた。さらにパク代表は「6年間の準備と莫大な予算、そして国家の体面など苦しい部分があるかもしれないが、青少年の健康を最優先に判断すべきだ」と主張した。

韓国紙の中央日報は4日付の社説で「参加者からは『お祭りではなく生存ゲーム』との声も出ている。組織委は『どの国のジャンボリーでもあり得る状況』と釈明したが、安易な判断だ」と批判した。

準備不足を指摘する声も上がった。朝鮮日報は「セマングムは農業用地として造成された場所のため水が溜まりやすく、日光を避けられる天然の空間がない。韓国政府は日よけ用のタープテントや水道施設を用意したが、現地のスカウト隊員たちは『全く足りていない』という反応だ」と伝えた。また、聯合ニュースによると、今大会の開催地にセマングムが選ばれたのはムン・ジェイン(文在寅)前政権時代の2017年で、約6年の大会準備で投じられた国の予算は計1000億ウォン(約110億円)を超えるという。今大会ではキャンプ地のトイレが清潔ではないなど、衛生面での問題も指摘された。これに関連し、聯合は「予算全体の74%を占める870億ウォンが組織委の運営費と事業費に計上されたが、このうちトイレやシャワー施設、給水台などに誓われたのは130億ウォンのみで、ずさんな予算執行も批判を受けている」と伝えた。

批判が高まる中でもセマングムで大会は続行したが、台風6号の接近に伴い、組織委は会場をソウルなど首都圏に移すことを決定。約1000台のバスが投じられ、参加者は8日午前から順次、現地を出発した。移動中には南西部のチョルラナムド(全羅南道)・スンチョン(順天)で、スイスのスカウト隊員36人を乗せたバスが市内バスと衝突する交通事故も発生した。この事故で3人が軽傷を負った。

ゴタゴタ続きの大会は11日午後のK-POP公演がフィナーレを飾った。コンサートには人気ガールズグループ「ニュージンズ」などが登場し、スカウト隊員約4万人が楽しんだ。最高の盛り上がりを見せ、韓国メディアのイーデイリーは「結局K-POPがやり遂げた。猛暑や進行不備などの問題で『史上最悪』との評価を下されそうになった大会のリリーフピッチャーの役割を十分に果たした」と評価した。

11日、大会は幕を閉じたが、聯合ニュースは「政府は組織委、(セマングムがある)全羅北道、女性家族部(部は省に相当)などを調査して責任の所在を明らかにし、責任を問う方針だ」と伝えた。与党「国民の力」は一時的な責任は執行機関である全羅北道にあるとして、中央政府の責任を追及する野党をけん制。一方、野党「共に民主党」は政府の責任を問い、原因究明に向けた国政調査を実施する考えを示している。

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