<W解説>北朝鮮の人権めぐる安保理会合、約6年ぶりに開かれるも一致した対応示せず(画像提供:wowkorea)
<W解説>北朝鮮の人権めぐる安保理会合、約6年ぶりに開かれるも一致した対応示せず(画像提供:wowkorea)
国連の安全保障理事会で今月17日、北朝鮮の人権状況を協議する公開会合が開かれた。開催後には国連加盟国のうち、50か国以上が共同声明を発表し、「北朝鮮における人権侵害は、違法な兵器や弾道ミサイルの開発と表裏一体の関係にある」と非難した。北朝鮮の人権状況を協議する公開会合が開かれるのは2017年以来。一方、北朝鮮は19日、国営・朝鮮中央通信を通じて「朝鮮人権研究協会」の報道官による談話を発表。公開会合が開かれたことを非難し、安保理について「米国の私設独裁機関、反人権謀略機構に過ぎない」と主張した。

会合は日米のほか、理事国ではない韓国も開催要請に加わり、約6年ぶりに開かれた。冒頭、ターク国連人権高等弁務官が、北朝鮮では新型コロナウイルス対策で国境を封鎖した後も、国家による広範な強制労働の慣習が続き、基本的な自由に対する抑圧が強まっていると報告した。

北朝鮮の人権問題を担当するサルモン国連特別報告者は「軍事化が国民の組織的な搾取を促進し、女性の政治参加を妨げている」と指摘。女性に対する当局の虐待や性暴力などに懸念を示した。

米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は、「北朝鮮の人権状況は一向に改善されていない。人権なしに平和は実現できない」と強調。国民の生活を犠牲にして核・ミサイル開発に資源を費やしていると指摘し、「北朝鮮は間違いなく人々の幸福を無視している」と非難した。

日本の石兼公博国連大使は拉致問題に言及し、「残念ながら多くの拉致被害者の家族が愛する人と別れた痛みを最後の思い出として亡くなっている」と述べ、問題の解決に向け国際社会の結束を訴えた。

利害関係国として会合に参加した韓国のファン・ジュングク大使は「北朝鮮における人権侵害は明らかに国連憲章に反しており、国際平和と安全に対する脅威となっている」と指摘した。

また、会合には2011年に脱北した男性(28)が出席。男性は「北朝鮮政権には住民のための政策はない。政権はわれわれの血と汗を指導部の贅沢な暮らしと空へ飛ばすミサイルに注ぎ込む」と述べた。その上で、北朝鮮がミサイル1発に使う費用で住民が3か月食べることができると訴え、「しかし、政権はこれを気にせず、ひたすら権力維持と核兵器の開発、彼らの行動を正当化する宣伝活動だけに注力している」と語った。

会合の後、米国や日本、韓国など50か国以上の代表が集まり、北朝鮮による人権侵害の責任を追及するよう全ての国連加盟国に呼び掛ける共同声明を発表した。

一方、中国の国連次席大使は「国連憲章によると、安保理の第一の責務は国際平和と安全の維持であり、人権問題を扱うことではない。米国とその同盟国こそ一方的な制裁によって北朝鮮の人々を苦しめている」と反発。ロシアの国連次席大使も「人権を口実にした不当な内政干渉だ」とし、北朝鮮を擁護した。

北朝鮮の人権をめぐる安保理公開会合は2014年から4年続けて開催されたが、北朝鮮を擁護する中国やロシアの反発などで開催されず、18年以降は非公開で開かれてきた。今回も中露が反対姿勢を鮮明にした。

北朝鮮は19日、朝鮮中央通信を通じ、「朝鮮人権研究協会」の報道官による談話を発表して安保理が開いた公開会合を非難。住民は高い水準の人権を享有していると強調し、会合は国連憲章の精神に対する「侮辱と侵害だ」と批判した。

今回、会合が約6年ぶりに開かれたものの、中国とロシアが北朝鮮を擁護し、一致した対応を示すことができなかった。しかし、韓国は「北の人権を議論する上で新たな動力を生み出す重要な契機になった」と評価した。韓国は来年から安保理非常任理事国入りすることから、外交部(外務省に相当)は、北朝鮮の人権問題について安保理で持続的に議論されるよう努力するとしている。

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