尹氏といえば、長年、元慰安婦支援団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)の代表を務めた人物だ。ムン・ジェイン(文在寅)前政権時代に、当時与党だった「共に民主党」から出馬し、国会議員に当選。しかし、正義連の理事長として活動中、寄付金を私的に流用したなどとして起訴され、現在、公判中だ。
寄付金流用事件で、詐欺や横領など8つの罪で在宅起訴された尹氏は、これまでの公判で起訴内容を全面否認。法廷で「この30年間、活動家として恥じることなく生きてきたと考えている」、「あらゆる悪意あるメディアによる報道と根拠のない疑惑が続き、悪魔のような犯罪者に仕立て上げられた」などと主張してきた。
今年2月、ソウル西部地裁で判決公判があり、地裁は私的流用による横領罪で罰金1500万ウォン(当時レートで約156万円)の支払いを命じた。その他の起訴内容は「証拠不十分」で無罪とした。
現役の国会議員は一般刑事事件の場合、禁固以上とならなければ議員の職を失わないため、罰金刑を受けた尹氏は議員職を維持できることとなった。だが、尹氏はこの事件とは別に、不動産の取引や保有をめぐる違法行為の疑いがあり、2021年6月、「共に民主党」から除名処分を受け、現在、無所属議員として活動している。
尹氏は控訴し、現在、控訴審で審理が行われており、先月、ソウル高裁で開かれた結審公判で、検察は1審同様、懲役5年を求刑した。今月20日に判決公判が開かれる予定となっている。
こうした中、尹氏が北朝鮮傘下の朝鮮総連が主催した関東大震災100年追悼行事に出席していたことが分かった。尹氏はこれまで北朝鮮に迎合した言動で知られてきた。韓国メディアによると、尹氏は8月30日に羽田空港に到着し、翌1日の追悼行事に出席した。私人としてではなく、韓国国会議員の立場で来日したという。朝鮮日報によると、尹氏側は韓国国会事務処(所)を通じて外交部に公文を送り、日本への入国協力を要請。駐日韓国大使館はこの協力要請に基づいて尹氏の入国手続きを支援し、東京駅近くのホテルまで車を提供した。駐日韓国大使館の関係者は同紙の取材に「大使館の職員が入国審査場内まで入って手続きを手伝い、官僚らが公務で入国する際に利用する『プライオリティー・レーン(優先保安検査場)』で手続きをした」と話した。
朝鮮総連主催の追悼行事にはホ・ジョンマン議長ら総連指導部が出席。朝鮮総連東京本部のコ・ドクウ委員長が追悼の辞の中で、韓国政府を「南朝鮮かいらい徒党」とののしる一幕もあったという。この日は在日本大韓民国民団(民団)が開催した犠牲者追悼行事も開かれていたが、尹氏はこちらには参加しなかった。
尹氏の朝鮮総連主催の追悼行事出席をめぐり、与党「国民の力」は「国会議員はもちろん、国民の資格もない」と強く非難。同党の首席報道官は3日、「国民の血税をもらう韓国の国会議員が韓国の存立を脅かす団体と肩を並べた。このような議員を韓国の一員として認めることが正しいのか」と指摘。「国会は反国家勢力と韓国を脅かした尹議員の除名で、自由民主主義を守るべきだ」と議員資格のはく奪を求めた。同党は4日、国会倫理特別委員会に尹氏の懲戒案を提出した。
一方、尹氏側は「韓国の団体が主催する行事と思って行った。被害者を追悼するために参加しただけ」と説明しているという。
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