<W解説>北朝鮮の金総書記が今月、ロシアのプーチン大統領と会談か=関係を強める両国の狙いとは?
<W解説>北朝鮮の金総書記が今月、ロシアのプーチン大統領と会談か=関係を強める両国の狙いとは?
北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記が今月にロシアを訪問し、プーチン大統領との会談を行う計画があると米メディアが伝えた。実現すれば、2019年以来、4年半ぶり。両者の会談では、ロシアは北朝鮮に対しウクライナでの戦闘に必要な武器や弾薬の供与を求める一方、北朝鮮はロシアに対し人工衛星や原子力潜水艦に関する先端技術の提供や食糧支援を求める可能性がある。先月下旬には、北朝鮮当局の約20人の代表団が平壌からウラジオストクまで列車で移動したことが確認されている。一行はその後、モスクワに飛行機で移動した。金総書記の訪露の下見とみられている。

米ニューヨーク・タイムズが米当局筋の情報として伝えたところによると、金総書記は今月10日からロシアのウラジオストクで開かれる「東方経済フォーラム」に出席するため、ピョンヤン(平壌)から列車で現地入りすることを計画しているという。これに合わせて金総書記とプーチン大統領による会談が行われる見通しと同紙は伝えている。金総書記とプーチン大統領は2019年にウラジオストクで会談したが、両者が直接会ったのはこの1回のみ。

このところ、北朝鮮とロシアは結びつきを一層強めており、今年7月に、朝鮮戦争の休戦協定の締結から70年となるのに合わせて首都・ピョンヤン(平壌)の広場で行われた軍事パレードには、ロシアからショイグ国防相をトップとする代表団が出席。ショイグ氏は金総書記らとともに、ひな壇からパレードを見守った。当時の東京新聞は「中ロ両国の代表団が招かれた中で、ロシアへの異例の厚遇が目立った」と指摘。「核・ミサイル開発を進め、日米韓と対立を深める北朝鮮と、ウクライナ侵攻で兵器不足に悩むロシアとの利害が一致し、蜜月関係を強調したとみられる」と伝えた。また、ショイグ氏はこの訪朝時に、金総書記に対し、中朝ロ合同の軍事演習の開催を正式に提案したという。

先月15日には、日本による朝鮮半島の植民地支配からの解放記念日にあたる「朝鮮解放の日」に合わせ、金総書記はプーチン大統領と祝電を交わした。金総書記は「朝ロ間の親善団結が新たな時代の要求に応えて百年の計の戦略的関係へとさらに発展し、共同の目標と偉業を成し遂げるための旅程で両国が互いに強く支持・連帯しながら常に必勝不敗であることを強く確信している」とした。これに対し、プーチン大統領は「今後もわれわれが両国人民の福利のため、そして朝鮮半島と北東アジア地域全般の安定と安全を強固にするため、あらゆる分野で協力を強化していくものと確信する」と表明した。

両者が4年ぶりに対面し会談を行う可能性があると報じられ、その狙いについて、韓国紙の朝鮮日報は「ロシアはウクライナ戦争の長期化で武器不足に悩んでおり、そのため北朝鮮から砲弾などの支援を受けるため交渉が行われているが、これについて両首脳が直接協議を行うというのだ。金正恩氏はロシアに対し、ウクライナ戦争で使用する砲弾などを提供する見返りに、人工衛星や原子力潜水艦など核関連の技術提供を要求するとみられる」と伝えた。

報道を受け、韓国外交部は「韓米の関係当局間でも北の動向について緊密に意思疎通している。(両者が出席予定の)東方経済フォーラムに関連する動向は引き続き注視していく」とした。

米国は強い警戒感を示した。ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は5日の記者会見で、北朝鮮がこれまでロシアに武器や弾薬を輸出する計画はないと公言していたことを指摘した上で、「約束を守るよう求め続ける」と話した。また、北朝鮮が対露支援を進めた場合「代償を払うことになる」と警告した。

一方、朝鮮日報は「北朝鮮と外国との首脳会談計画が事前に詳しく公表されるのは過去に例がない」と指摘した上で「今回詳しい日程が報じられたこともあり、セキュリティーに極度に気を使う金正恩氏が予定通りロシアを訪問するかは不透明だ」と伝えた。

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