東京電力福島第一原発の処理水海洋放出をめぐり、これに抗議するためハンガーストライキを続けている韓国野党・共に民主党のイ・ジェミョン(李在明)代表
東京電力福島第一原発の処理水海洋放出をめぐり、これに抗議するためハンガーストライキを続けている韓国野党・共に民主党のイ・ジェミョン(李在明)代表
東京電力福島第一原発の処理水海洋放出をめぐり、これに抗議するためハンガーストライキを続けている韓国野党・共に民主党のイ・ジェミョン(李在明)代表が、ストライキ開始から14日目となる今月14日、ハンスト場所を韓国国会本庁前のテントから本庁内の党代表室に移した。韓国紙の朝鮮日報は「体力消耗を避けるためにハンストの場所を室内に移したものだ」と伝えた。一方、韓国野党や野党系市民団体が主導する一連の抗議活動は、現在は放出前ほどの勢いは見られない。同紙によると、最近行われた反対集会への参加人数は当初の3分の1にも満たなかったという。李代表とハンストを続けてきた議員たちの中には病院に搬送される議員も出始めた。

「共に民主党」など韓国野党は、処理水の放出をこれまで一貫して反対している。7月には同党所属の一部議員らが訪日し、首相官邸前で抗議集会を行った。先月、日本政府が海洋放出を決定するや、李代表は放出を「テロ」行為と批判。「日本は放射能汚染(処理)水の放出によって、韓国と環太平洋諸国に取り返しのつかない災難をもたらそうとしている」と主張した。また、批判の矛先をユン・ソギョル(尹錫悦)政権にも向け、科学的、技術的問題はないとする尹政権の責任を追及する考えを示した。

李代表は先月31日、放出に反対するため無期限のハンストに入った。しかし、李代表とともにハンストを行っていた同党所属の議員2人が14日、体調不良で病院に搬送された。李代表は「後のことは党代表である私と党に任せていただき、当面、体を回復させることに集中してほしい。回復を祈る」とコメントした。その李代表も14日、ハンスト場所を国会本庁前から本庁内の党代表室に移した。同党のパク・ソンジュン報道官は「場所を移したのは、ハンストをさらに継続するという李代表の決然たる意志が込められてのこと」と説明した。

李代表は無謀ともいえる無期限のハンストで、放出反対の意思を示しているが、いざ放出が始まるや、国民の熱は和らいだ雰囲気だ。朝鮮日報によると、ソウル市内で開かれた反対集会に、先月26日の初回は7000人が集まったが、今月9日の3回目は2000人にとどまったという。

放出により、水産物の消費の落ち込みも懸念されていたが、28日の旧暦のお盆「チュソク(秋夕)」を控えて、消費はむしろ増加しているという。先月18日から、今月6日までの「秋夕用贈答品の予約販売状況」によると、各百貨店における水産物の売り上げは昨年同期を上回った。朝鮮日報が伝えたところによると、ロッテ百貨店ではイシモチの干物が4倍以上、イワシなどの干物は3倍以上、昨年同期比増となった。新世界百貨店でも水産物の贈答セットの売り上げが前年同期比78%増となった。ソウル市内にある水協(漁協)カンソ(江西)水産市場で9~10日に開かれた「水産大フェスティバル」も大勢の人でにぎわった。

ハンストを続ける李代表に、冷ややかな声も上がっている。クァンウン(光云)大学のチン・ジュングォン特任教授は13日、出演したラジオ番組で、「ハンストの目的が不明確だ」と批判。その上で「ハンストの目標がなぜ明確ではないかというと、本人のための断食だからだ」と指摘した。李代表をめぐってはソウル近郊のソンナム(城南)市長時代の都市開発に関連した背任などの疑いがあり、今年3月に起訴された。15日には公判が予定されていたが、ハンストにより健康状態が芳しくないことから延期となった。チン特任教授は断食が一連の疑惑をめぐる李代表自身に対する捜査と裁判をもみ消すための「防弾用断食」のようだと指摘した。

一方、政府は引き続き、国民の不安払しょくに努めており、水産物の消費動向も注視し、状況に応じて機敏に対応する方針を改めて示した。また、近く海洋放出のプロセスを点検するための専門家を現地に派遣する。派遣は2回目で、先月の放出開始の際には、韓国原子力安全技術院(KINS)所属の専門家が現地に派遣され、今月8日まで現地に滞在して、IAEAと会議を重ねた。

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