読売新聞によると、竹島や尖閣(中国名・釣魚島)諸島、北方領土などについて、日本政府は自国領土と主張する領土情報の発信強化のため、来年度予算案に関連経費として約3億円を編成するという。情報の発信は、国外向けには著名な海外の専門家に日本の見解を記したメールを定期的に送り、国内向けには外国人を対象にセミナーを開催することを計画している。また、東京・千代田区にある領土・主権展示館の補修も進める。同館は、竹島と尖閣諸島、北方領土の主権問題について、国民世論の喚起、国際社会に向けた発信を目的として日比谷公園の市政会館内に2018年に開設した博物館。現在は移転し、霞が関の虎の門三井ビルディングに所在する。竹島や尖閣諸島が歴史的にも国際法上も日本の領土であることの根拠や、韓国・中国の主張への反論を説明するパネル、証拠資料を展示しているほか、政府が法と対話による問題解決を目指す立場にあることの説明などがある。
日韓関係は急速な改善を見せており、岸田文雄首相と韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は訪問先のインドで今月10日(日本時間)、首脳会談を行った。日韓首脳が会談するのは、今年3月以降、6回目だ。しかし、関係改善が進む中でも竹島に関する立場に変化は見られない。それどころか韓国では、島の領有権を主張するパフォーマンス的行動が続いている
今年5月には、最大野党「共に民主党」所属のチョン・ヨンギ議員が学生団体のメンバーら十数人と竹島に上陸した。チョン議員らは韓国国旗を振り、「独島は我々の領土だ」などと叫んだという。韓国の国会議員が竹島に上陸するのは、2021年8月以来のことだった。当時のチョン氏の行動には韓国内でも批判が上がった。これまで韓国政府は島の領有権争いの存在そのものを認めておらず、島は明らかに韓国の領土であるという立場から、そもそも外交交渉や司法での解決の対象になるものではないとしてきている。しかし、議員が島に上陸して領有権を主張することは、竹島が論争の対象であると認めることにもなり、政府の立場と整合性がとれないからだ。一方、日本の外務省は船越健裕アジア大洋州局長(当時)が韓国大使館の次席公使に電話し、「事前の抗議や中止の申し入れにも関わらず上陸が強行された。竹島は歴史的事実に照らしても、国際法上も明らかに日本固有の領土であり、到底受け入れることはできず、極めて遺憾だ」と強く抗議した。
7月に防衛省が2023年版の「防衛白書」を公表した際、韓国外交部(外務省に相当)は白書で竹島が「わが国固有の領土」と記述されたとして抗議した。外交部は当時、報道官論評を発表し、「歴史的、地理的、国際法的に明白なわが固有の領土である独島に対する不当な領有権主張を繰り返したことに強く抗議する」とした。日本との関係を重視している尹政権は、日本との安全保障強化を進める一方、島の領有権をめぐっては、断固対応する立場を示しており、報道官論評では「日本政府は、不当な主張を繰り返すことが未来志向的な関係構築に役立たない点を自覚すべきだ」とした。
日本政府が領土情報の発信強化のため、来年度予算案に関連経費として約3億円を編成するとの報道が出るや、韓国メディアはこのニュースを伝えた読売新聞の記事を引用する形で報じた。朝鮮日報は「日本は韓日関係が改善する雰囲気の中でも、独島領有権問題だけは『歴史的事実と国際法の観点から明らかに自国領土』とする従来の主張を少しも変えていない」などと報道。毎日経済は「野心をまたあらわにした日本」などといった見出しで伝えた。
また、日本では反日活動家として知られる韓国ソンシン(誠信)女子大学のソ・ギョンドク教授は自身のSNSで「これは独島に関する国際的な世論づくりをするという日本の典型的なずる賢い戦略だ」と批判。その上で「われわれは日本のこうした戦略を逆手に取ることが非常に重要だ」とし、「例えば、著名な海外の専門家に送ったメールの誤りを論理的に正し、日本政府の強引な主張であることを明らかにしなければならない」と主張した。
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