李氏は南東部キョンサンプクド(慶尚北道)アンドン(安東)郡(現・安東市)出身の58歳。貧しい家庭に育ち、小学校卒業後は少年工として働きながら検定考試に合格、中学・高校の卒業資格を得た。1986年に韓国の中央大学を卒業し、弁護士となった。その後、ソウル近郊のキョンギド(京畿道)ソンナム(城南)市長を2007年7月1日~2018年3月15日まで務めた後、2018年7月~昨年10月25日まで京畿道知事を務めた。昨年3月の大統領選に立候補し、最後まで尹錫悦氏と激しい争いを見せたが、約24万票の僅差で敗れた。
国政には2008年の総選挙に出馬したが落選。それまで国会議員の経験はなかったが、昨年6月の補欠選で当選し、晴れて議員バッジを着けることになった。そしてこの約2か月後には「共に民主党」の党代表に就任。次の大統領選も見据えながら、尹政権との対決姿勢を強めていた。また、李氏は「反日強硬派」としても知られ、これまで日韓関係改善を進めてきた尹政権を「対日屈辱外交」などと批判を続けてきた。東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出にも激しく反発し、尹政権と海洋放出とを結び付け「国民の安全や財産を脅かし、海洋主権を侵害する日本の核廃水投棄テロに抵抗するどころか共犯になった」と尹政権を非難する主張を繰り広げた。
李氏をめぐって、ソウル中央地検は今月18日、李氏が京畿道知事だった2019~20年、副知事と共謀し、企業の元会長に北朝鮮へ計800万ドル(約11億8000万円)を不正に送金させたなどとして、外国為替取引法違反などの疑いで逮捕状を請求していた。一方、李氏はSNSで容疑を否認。検察トップの元検事総長だった尹政権による「政治工作だ」と主張した。
国会議員の李氏は、会期中の逮捕に国会の同意がいる「不逮捕特権」を持っている。そのため、逮捕同意案が国会に提出され、21日に採決が行われた。その結果、出席した国会議員295人中149人が賛成票を投じ、過半数を1票上回り、可決した。国会で過半数議席を占める「共に民主党」議員から造反者が多く出た形だ。
同党で国会運営を取り仕切る院内代表のパク・グァンオン氏ら党執行部は責任を取って総辞職する考えを明らかにした。同党の院内報道官は「院内代表たちは議員たちに、逮捕同意案の否決を呼び掛けていた。議員たちを説得する役割を担っていたため、今回の採決結果には責任があると判断し、辞意を決めた」としている。
李氏をめぐっては今年2月にも、城南市長時代の都市開発に関する不正疑惑などに絡み、検察が逮捕状を請求したが、この時は国会で逮捕同意案が否決された。しかし、今回は「共に民主党」から約30人程度の造反者が出て逮捕同意案が可決した。来年4月に総選挙を控える中、李代表の求心力低下が露呈した形だ。韓国の聯合ニュースは、「共に民主党は党代表が逮捕される可能性に直面すると同時に派閥間の対立がさらに深まり、分裂も懸念される状況に置かれることになった。李氏の支持層の反発も加わり、党内外の激しい混乱は避けられないとみられる」と伝えた。
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