<W解説>韓国首相が中国・習主席と会談、中韓関係改善につながるか?
<W解説>韓国首相が中国・習主席と会談、中韓関係改善につながるか?
アジア大会の開会式に出席するため、中国東部の杭州を訪れた韓国のハン・ドクス首相は23日、中国の習近平国家主席と会談した。中韓関係が冷え込んでいる中、習氏は「中韓関係の安定した発展は、両国の共通の利益にかなう。共に戦略的協力パートナーシップを前進させたい」と述べ、中韓の友好を強調。また、2019年12月以来、開かれていない日中韓の3か国による首脳会談について、適切な時期の開催を歓迎する意向を示した。

中韓関係をめぐっては、韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が日本や米国との関係を重視する外交政策を進めていることに伴い悪化していた。今年6月には、シン海明駐韓中国大使が、尹政権の外交政策を批判する発言をしたことが波紋を広げた。シン大使は、韓国最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)代表との会談で、「韓国には中国との関係において外部の妨害から抜け出すことを願う」とし、米韓関係、日米韓3か国協力を重視する尹政権の外交政策をけん制。「一部では米国の勝ち、中国の負けに賭けている。誤った判断であり、後で必ず後悔する」と述べ、米国の圧力といった外部の干渉によって誤った判断をしないよう警告した。外国の大使が駐在国の政府を露骨に批判するのは異例で、当時、韓国外交部(外務省に相当)のチャン・ホジン第1次官はケイ大使を外交部に呼び、強い遺憾の意を表明した。

その後、7月には中韓次官級協議が開催され、関係改善で一致。そして今回、ハン首相が杭州アジア大会の開会式に出席するために訪中し、現地で習国家主席と会談した。韓国の首相が訪中するのは4年半ぶり。

会談は約30分間行われ、習氏は「中国と韓国は密接な隣国で、切っても切り離せないパートナーだ」とした上で、「緊密な経済関係とサプライチェーンの深い統合により、中国と韓国は協力関係を深め、互いのために成果を上げ続けることができる」とし、両国の経済関係を強化することが、韓国の利益にもつながると強調した。これに対し韓氏は「経済や貿易の面での協力や人的交流を強化することで、世界経済の回復と成長を共同で促進することが望まれる」と応じた。

また、韓国が早期開催を目指している日中韓3か国による首脳会談についても取り上げられ、習氏は「適切な時期の開催を歓迎する」との立場を示した。

日中韓首脳会談は1999年に当時の小渕恵三首相の提唱により、フィリピンでの国際会議に合わせて初めて開催された。2008年からは3か国の持ち回り開催となった。これまで、核・ミサイル開発を進める北朝鮮への対応や、経済協力などを話し合ってきた。

2019年は12月に中国の四川省・成都で開かれ、北朝鮮への対応で緊密に連携していくことで一致。東アジア地域包括的経済連携(RCEP)や日中韓自由貿易協定(FTA)など自由貿易を推進していくことも確認した。

しかし、翌2020年は日韓関係の悪化に加え、新型コロナウイルスの感染拡大も影響して見送られた。2021年、2022年も開催されることはなかった。

今年3月、岸田文雄首相は、来日した尹統領との共同記者会見で「ハイレベルの日韓中プロセスを早期に再起動する重要性で一致した」と述べ、日中韓首脳会談の再開に意欲を示した。

また、韓国のパク・チン(朴振)外交部長官(外相)は、インドネシアのジャカルタで7月に開かれたASEAN(東南アジア諸国連合)プラス3(日中韓)外相会議で、日中韓首脳会談の再開を目指す考えを示した。

先月には韓国のチョ・ヒョンドン駐米大使が、日中韓首脳会談を年内に開催する方向で調整していることを明らかにした。チョ大使は「ホスト国(韓国)として(日中)2か国と協議し、開催に向けてあらゆる努力をしている」と述べた。

習氏は2014年7月を最後に訪韓していない。習氏は23日のハン氏との会談で「訪韓を真剣に検討する」とも述べた。

中国政府としては、韓国との関係改善を進めることで日米韓の連携を崩したい狙いもあるとみられ、今回の会談が、中韓関係の改善、さらには年内の日中韓首脳会談の開催実現につながるか注目される。

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