26日午後、令状審査を終えてソウル中央地裁を出る李氏=ソウル(聯合ニュース)
26日午後、令状審査を終えてソウル中央地裁を出る李氏=ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国のソウル中央地裁は27日未明、最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表に対する逮捕状請求を棄却した。検察は李氏を拘束してソウル近郊・京畿道城南市長時代と京畿道知事時代の不正行為の全貌を明らかにするという計画の練り直しを迫られそうだ。李氏は政治基盤を回復し、2年にわたり全方位で圧力をかけてきた検察に反撃する機会を得たことになる。

 地裁は26日、李氏を呼び出して逮捕状発付の是非を判断する令状審査を行った。9時間を超える審問と7時間の熟考の末、担当判事は27日「被疑者の防御権保障の必要性の度合いや証拠隠滅の憂慮の度合いなどを総合すると、不拘束捜査の原則を排除するほどの逮捕の理由と必要性があるとは見なし難い」との判断を示した。

 検察は李氏について、同氏が城南市長だった時期の都市開発事業で民間事業者に便宜を図り、城南都市開発公社に200億ウォン(約22億円)以上の損害を与えた容疑や、京畿道知事時代に下着メーカー大手・サンバンウルグループを通じ巨額資金を北朝鮮側に不正に渡した疑惑に絡む容疑で逮捕状を請求していた。

 地裁は都市開発事業での偽証教唆容疑を除き、いずれの事件も容疑に争いの余地があると判断した。証拠隠滅の恐れがあるとする検察の主張も認めなかった。

 現職の国会議員である李氏は、会期中に国会の同意なしに逮捕・拘束されない不逮捕特権を持つ。検察は今年2月にも別の疑惑を巡り李氏の逮捕状を請求したが、この時は国会で逮捕同意案が否決され、逮捕状請求は自動的に棄却された。それから約7カ月後の今月18日、検察は2回目の逮捕状請求に踏み切った。21日に国会で逮捕同意案が可決され、26日に地裁で令状審査が実施された。野党第1党の代表が裁判所の令状審査を受けるのはこれが初。

 李氏は全面的な国政刷新や内閣総辞職を求めて8月31日からハンガーストライキを実施していたが、体調が悪化して24日目で断念。入院先で身体の回復に努めていた。地裁の審査にもつえを使って出席し、検察の主張に自ら反論しながら過度な検察権行使に歯がゆさをあらわにした。地裁が在宅での捜査を求める李氏側の主張を受け入れて逮捕状請求を棄却したことから、李氏は入院先の病院に戻る。

 逮捕を免れた李氏は今後、党内のリーダーシップの回復に努めるとともに、検察に対し「政治報復のために検察権を乱用した」として大々的な反撃に乗り出すと見込まれる。

 一方の検察は捜査の正当性に大きな打撃を負い、仕切り直しが必要となる。残りの捜査が勢いを失う恐れもある。検察はひとまず棄却理由を綿密に分析した上で、連休明けに改めて捜査の方向性を定める見通しだ。


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