<W解説>韓国「秋夕」の6連休スタート、今年は「国民大移動」の光景が復活か
<W解説>韓国「秋夕」の6連休スタート、今年は「国民大移動」の光景が復活か
韓国で、日本の中秋の名月にあたる「チュソク(秋夕、今年は9月29日)」の連休が本日、28日から始まった。今年はコロナ禍明けで迎える初めての秋夕で、10月3日まで6日間の大型連休となる。高速道路は27日から早くも規制ラッシュが始まっており、今年はコロナ禍前の秋夕にみられた「国民大移動」の光景が戻ることになりそうだ。

秋夕はソルラル(旧正月)と並ぶ韓国の代表的な名節で、親戚一同が故郷に集まって先祖の墓参りをしたり、食事をしたりするのが一般的な過ごし方だ。また、秋夕の朝には、先祖の霊を迎え入れるための祭礼「チャレ(茶礼)」が行われ、祭壇には野菜のナムルや肉、魚などたくさんの食べ物が供えられる。「民族大移動」と言われる大規模な帰省ラッシュで高速道路の大渋滞や、人でごった返すソウル駅の光景はコロナ禍前まではお決まりだった。しかし、コロナ禍では状況が一変。帰省を自粛する人も多く、墓の草刈り代行サービスや、オンライン墓参りなども登場した。

また茶礼の準備には相当な労力が必要になり、秋夕が終わると脊椎や関節に異常を感じたり、めまいや頭痛、腹痛、動悸(どうき)などの症状を訴えたりする人が増えるとされる。「名節症候群」とも呼ばれ、特に女性に多く見られる症状という。名節の準備は女性に集中しがちで、何もしない夫に妻が愛想を尽かし、関係が急速に悪化したあげく、離婚に至るケースもあるという。就職情報サイトのジョブコリアがコロナ禍の2019年に会社員の男女1921人を対象調査したところ、名節の料理や祭祀の膳の準備などで、その後うつ症状が現れたと答えた人は、10人中4人に上った。コロナ禍では、こうした秋夕の伝統的な過ごし方が簡略化されることも多く、一部では「負担が減って安堵した」との声も聞かれた。しかし、今年は親戚ら一同が集まる秋夕の伝統的な光景も復活しそうだ。

秋夕に合わせ、ボーナスを支給する企業も多く、前出のジョブコリアが会社員747人を対象に行った調査結果によると、回答者の55.2%が「秋夕・賞与金」を受け取ると答えた。支給額の平均は46万4185ウォン(約5万1000円)だった。

秋夕連休の帰省ラッシュは27日から既に始まっている。今年は連休中の28日~10月1日までの4日間、全国の高速道路の通行料が3年ぶりに無料となる。もともと韓国政府は、毎年、旧正月や秋夕の連休には高速道路の通行料を無料としていたが、2020年の秋夕から昨年の旧正月までは、コロナの感染拡大を防ぐため、規制や旅行の自粛を促す方策として、通行料を通常通りに徴収していた。

今年の秋夕は9月29日(金)で、秋夕の前後の日は祝日となる上、10月1日が日曜日のため4連休となることは初めから決まっていた。10月3日は建国記念日「開天節」で祝日であることから、10月2日が休みとなれば6連休が成立するとして国民から期待が高まり、政府は検討した結果、10月2日を臨時公休日とすることを、今月5日、閣議決定した。

今年は6連休となり、国内はもとより海外旅行に行く人も多い。韓国紙の朝鮮日報は今年の秋夕の連休中に韓国人が訪れたいと希望する海外の都市は、トップ5のうち3つが日本の都市だと伝えた。同紙によると、旅行サイトのブッキング・ドットコムが自社のサイトで韓国人が「宿泊先」として検索した都市を集計したところ、1位は東京、2位はフランスのパリ、3位は大阪、4位は福岡、5位はイタリアのローマだった。昨年の秋夕に合わせて行った同様の調査では、上位5都市に日本の都市は入らなかった。同紙によると、ブッキング・ドットコムは「記録的な円安が大きく影響したようだ。昨年と比べると、日本の都市のランキングが高くなったことがわかる」としている。また、今年は6連休ということもあり、欧州など長距離旅行が人気なことも特徴で、欧州の中でもスペイン、イタリア、英国、スイスへの旅行希望者が多いという。

さまざまな制限があったコロナ禍での秋夕の連休から一変、今年はにぎやかで活気ある光景が韓国中に広がりそうだ。

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