<W解説>杭州アジア大会が閉幕、韓国の「メダルランキング3位」の結果に「評価難しい」と自国メディア
<W解説>杭州アジア大会が閉幕、韓国の「メダルランキング3位」の結果に「評価難しい」と自国メディア
中国の杭州で行われたアジアのスポーツの祭典、アジア大会が8日、閉幕した。韓国は計190(金42、銀59、銅89)個のメダルを獲得。金メダル獲得数に基づく参加国別メダルランキングは日本(金52)に次ぐ3位だった。大会前、大韓体育会は「金メダル50個以上、メダルランキング3位」を目標に掲げており、順位の目標は達成したものの、金メダルの獲得目標は達成できなかった。韓国の聯合ニュースは「韓国スポーツ界は選手層が薄くなって五輪や国際大会での競争力低下が指摘されるが、今大会でも地盤沈下ぶりを露呈した」と伝えた。

杭州アジア大会は新型コロナウイルスの流行を受けて1年延期となり、先月23日に開幕。45の国と地域から選手が参加して40の競技が行われた。韓国は39競技に過去最多となる1140人の選手団を送り込んだ。大韓体育会は大会前から日本を意識。2018年のジャカルタ・アジア大会と2021年に開催された東京五輪ではメダル数で日本に大きく水を開けられたことから、2024年のパリ五輪を見据え、今大会で日本との金メダル数の差を10個以内にとどめることができれば、五輪で互角に戦えると見込んでいた。

開幕に先立ち先月19日に行われたサッカー男子の1次リーグE組初戦では、韓国代表はクウェートに9-0で大勝し、韓国代表団として初勝利。幸先の良いスタートを切った。

韓国は過去の大会で北朝鮮との合同チームを結成し、開会式に合同で入場行進することもあったが、今回は見られず、南北の関係が冷え込んでいる現状をうかがわせた。また、北朝鮮の朝鮮中央テレビは、先月30日に行われた女子サッカー準々決勝の韓国対北朝鮮の試合を放送した際、画面の下部にスコアとともに韓国を「傀儡(かいらい)」と表示。朝鮮労働党の機関紙・労働新聞もこの試合の結果を伝える記事で「わが国のチームが傀儡チームを4-1という圧倒的な点差で打ち負かし終わった」と伝えた。「傀儡」という言葉を北朝鮮では「韓国は米国の手先」という意味で使っている。25日の射撃では、韓国チームが優勝し、北朝鮮チームは準優勝して共に表彰台に上がったが、韓国国歌が流れている間、北朝鮮選手らは韓国国旗に背を向け、恒例の記念撮影を拒否。韓国選手が話しかけても目を向けなかった。柔道でも韓国選手から握手を求められた北朝鮮選手が無視してそのまま退場する場面が見られた。

韓国は今大会、テコンドー、アーチェリーなど五輪でも強さを発揮している競技で着実に金メダルを量産した。卓球女子は21年ぶりに頂点に立つ快挙を成し遂げた。また、今大会から正式競技となった「eスポーツ」では2個の金メダルに輝き、今後、同競技が韓国の新たな「お家芸」となるか期待される。一方、射撃で金2個、柔道で金1個と、伝統的に強い競技で振るわなかった。また、男女バレーボールと男子のバスケット、ハンドボールが「メダルなし」に終わるなど、一部球技種目での不振もみられた。

韓国選手団は8日に現地で解団式を行った。大韓体育会のイ・ギフン(李起興)会長は「スポーツ選手にとって最も重要なことは結果を受け入れること」とした上で、「来年にはパリオリンピックがある。挑戦の力を備蓄してほしい」と呼び掛けた。チェ・ユン(崔潤)選手団長は「(メダル獲得数が)目標より少し足りなかった。パリオリンピック、3年後のアジア大会でもっと良い成績が出せるよう頑張りたい」と語った。

今大会で韓国は金メダル42個を獲得。メダルランキングは3位だった。聯合ニュースによると、大韓体育会の関係者は取材に「期待していた競技が不振だったため、目標の金メダル50個に及ばなかったが、総メダル獲得数(190個)は前回大会(117個)より増えた。多彩な競技で金メダルを獲得したことを前向きに評価している」と話した。また聯合は、今大会の韓国の結果について、「評価難しい3位」と伝えた。開催国の中国の強さが際立ったことを指摘した上で、総合順位で2位だった日本との差に注目。「日本はスター選手が多く出場した東京五輪前のジャカルタ大会で韓国を退け24年ぶりに2位となったが、今回はパリ五輪に集中するために一線級がほぼ出なかったにも関わらず韓国を上回った。日本と韓国の金メダル数の差は前回の26から縮まったが、力の差が接近したかどうかは判断しがたい」と評した。

アジア大会が幕を閉じ、選手たちは開幕まで1年を切ったパリ五輪を見据える。中国をはじめアジアの競技レベルも上がっている。韓国が今後、来年のパリ五輪に向けて各競技でどう強化を進めていくのか注目される。

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