江西区長選は陳氏と与党「国民の力」のキム・テウ(金泰佑)前区長の一騎打ちとなり、陳氏が勝利した。陳氏の得票率は56.52%で、金氏の39.37%を17.15ポイント上回った。
陳氏の当選に、「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)代表は自身のSNSで「国民の偉大な勝利であり、国政の失敗に対する厳しい審判だ」と投稿した。その上で「民主党の勝利とは思わない」とし「政治の覚醒と民生回復を求める国民の厳しいムチだ。一時、政権を握っていた私たち民主党が足りない部分が多かったことを改めて反省する。私たちの中の小さな違いを越えて団結し、葛藤と分裂を越えて国民が力を一つにして危機を克服し、国家と国民のより良い未来を開拓する。ひたすら『国利民福』だけのために競争する、真の意味での政治が復活するよう最善を尽くす」とした。
陳氏は南西部のチョルラプクト(全羅北道)イクサン(益山)郡(現・益山市)出身の56歳。1989年に警察大学を卒業して警察官となり、ソウル地方警察庁の情報管理部長、警察庁情報局長、全羅北道警察庁長、警察庁次長を歴任した。
一方、今回の選挙で敗れた金氏は、2022年6月の江西区長選に当選したが、区長就任前の検察職員時代に、ムン・ジェイン(文在寅)前政権内の機密を漏洩(ろうえい)した事件で今年5月に有罪が確定。区長の職を失った。しかし、今年8月に光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)に合わせて行われた特別赦免(恩赦)の対象となり、自身の失職に伴い行われた今回の補欠選挙に出馬した。有罪判決を受け失職した金氏を補欠選挙で擁立することは、当時、「国民の力」の党内でも疑問の声が上がっていた。
こうした経緯を経て行われた今回の選挙の結果に、韓国紙ハンギョレは「江西区は野党(共に民主党)が強い地域という点を考慮しても、17ポイント差の惨敗は無理な公認が原因という批判の声が上がるものとみられる」と指摘。「尹大統領は、執行猶予の確定判決を受けて区長職を失った金候補を8月に赦免して復権させ、出馬の道を開いた。『国民の力』の指導部も大統領室の顔色だけをうかがって金候補を公認したという批判を免れないとみられる」と伝えた。
来年4月の総選挙を控え、与野党は前哨戦と位置づける今回の区長選に総力戦を展開。党幹部が連日応援に駆け付けた。総選挙は中道層が多い首都圏での結果が全国の勝敗のカギを握るとみられ、韓国紙の朝鮮日報は「『首都圏危機論』再燃」と伝えた。また、東亜日報は、今回の選挙結果について「『国民の力』が『共に民主党』に大敗した2020年の総選挙の時と同様の得票差で敗北したことが分かった」と指摘。「20年の総選挙後、昨年の大統領選挙と地方選挙では『国民の力』を選択した江西区の民意が、20年の総選挙当時の民主党支持に回帰したとの見方が出ている」と伝えた。
さらに13日には、「国民の力」にとってより痛烈な世論調査結果が発表された。世論調査会社の韓国ギャラップが今月10~12日に全国の18歳以上の1002人を対象に実施した調査の結果によると、政党支持率は「国民の力」と「共に民主党」が34%で並んだ。また、来年の総選挙について「野党候補が多く当選すべきだ」と答えた人が48%で、「与党候補が多く当選すべきだ」の39%を上回る結果となった。
区長選の結果を受けて「国民の力」はコメントを発表し、「厳しい叱責を重く受け止め、改革課題を迅速に履行し、国民の目線に合う新しい大韓民国をつくる。より謙虚な姿勢で国民にまずは歩み寄る党になる」とした。総選挙まで半年を切った。「国民の力」はこの逆風を跳ね返すことはできるのか。
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