ロイター通信などの海外メディアでも、先に総帥経営体制で運営されている韓国企業の事例と特徴を紹介し、「グローバル企業を相手に激しい競争を繰り広げている状況で、最高意思決定権者が主要意思決定の過程から排除される場合、会社全体に対する総帥のリーダーシップに多大な影響を及ぼすしかない」と経営トップの不在を憂慮した。
韓国のタイヤ業界によると、ハンコックタイヤはグローバルタイヤ市場で7位のシェアを持ち、売上高の85%以上を海外市場で稼いでいる。業界の関係者は「競争が激しいグローバル市場で生き残るためには、新製品の革新能力とコスト競争力を持続的に高めなければならない」とし、「研究開発(R&D)、生産施設など果敢な投資が必要だが、ハンコックタイヤはこの過程自体が不可能な状況」と説明した。
趙会長が陣頭指揮した大胆な投資事例も内外の見通しに説得力を加えている。2021年にはカナダの超小型精密機械メーカーを2000億ウォン(約221億円)で買収し、昨年にはアジア最大の走行試験場「ハンコックテクノリング」を2000億ウォン規模で建設した。また、米国テネシー州に2兆ウォン規模の工場増設計画も発表していた。
新成長動力の確保にも緊急事態が発生している。趙会長は昨年5月、「ハンコックテクノリング」の竣工歓迎式で、「革新しなければ淘汰(とうた)されるしかないという現実を誰よりも深く感じている」と述べており、新成長動力の確保に意欲を示していた。しかし、今年に入ってからは新規投資や事業展開に関する発表は見られなくなった。企業の未来価値や市場の期待感を反映する指標の株価も横ばい傾向を見せている。
別の業界関係者は「リーダーシップの不在と新規投資の停滞期間は数か月に過ぎないように見えるかもしれないが、その余波は数年後に現れる」とし、「高付加価値産業や先端技術産業が主導する現在の市場では、短期間のR&D投資の空白は数年分の差として現れる可能性がある」と警告している。
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