「近ごろ寒くなってきたし、そろそろキムチ作りの準備をしないといけないのに。」

秋のキムジャンシーズンを控えて主婦たちの悩みが増している。白菜の価格が高騰し、塩やしょうが・わけぎなどのキムチ作りに必要な材料の値段まで相次いで値上げされたためだ。このために、今年のキムチ作りを諦める人まで出ている。

インチョン(仁川)に住む60代の主婦キムさんは、今年のキムチ作りの計画を事実上諦めた。最近の物価高の影響を受けて家計が厳しくなっている状況で、白菜をはじめとするキムチの材料の値段が上がったというニュースを聞いたためだ。キムさんは「新しいキムチを漬けて家族みんなで分けて食べるのが楽しみで、これまで毎年このシーズンになるとキムチを作ってきたが、今年はちょっと難しそうだ」と話し、「子供も今はみんな独立しているし、今年はスーパーでキムチを買って食べることにした」と語った。

ソウルに暮らす50代の主婦パクさんは、キムジャンの準備を急いでいる。パクさんは「大型スーパーでキムチ用白菜の事前予約を申し込んだが、これから物流費の値上げなどによってさらに値段が上がるという話を聞いた」と語り、「毎年11月中旬頃にキムジャンをしてきたが、今年は時期を早めなければならないと思い気持ちが焦った」と話した。

韓国農水産食品流通公社(aT)の農産物流通情報(KAMIS)の価格動向によると、17日時点の白菜1株の平均小売価格は6587ウォン(約723円)で、昨年の5934ウォン(約656円)より11%ほど上昇した。一部の食品売り場では1株8000ウォン(約885円)に迫っている。

食品業界では白菜の価格よりも塩の価格の方が心配だという声も出ている。粗塩5キロあたりの小売価格は1万3227ウォン(約1460円)で、昨年の1万1202ウォン(約1240円)に比べて18%上昇した。日本の福島原発からの処理水放出の影響により需要が急増し、台風と長梅雨で生産量が減少したためだ。唐辛子粉や長ねぎ、わけぎ、しょうがなどのキムチに使われる材料も相次いで値上がりしている。国産唐辛子粉1キロあたりの小売価格は3万5824ウォン(約3960円)で、昨年の3万1655ウォン(約3500円)に比べて13.1%上昇した。長ネギ1キロの価格はは4001ウォン(約442円)で、昨年より23.5%、ワケギ1キロの価格は1万209ウォン(約1130円)で、昨年より39.2%それぞれ上昇した。しょうが1キロの価格は1万7466ウォン(約1930円)で、昨年より2倍以上に値上がりした。

そこで結局キムチ作りを諦めて市販のキムチに目を向ける消費者が増えている。実際にGSショップが2019年から今年の9月までTVの通販番組で販売された「宗家ポギキムチ」の販売量を調べた結果、白菜高騰騒動があった昨年を除いて毎年着実に増加していることが分かった。新型コロナウィルス流行前の2019年の1月から9月までにGSショップがTV通販で販売した「宗家ポギキムチ」は21万5000個だったが、新型コロナウィルス感染拡大が始まった2020年の同期には23万9000個と11.1%増加し、2021年には24万8000個と3.6%増加した。今年の1月から9月までには約25万4000個が販売されている。

テジョン(大田)に暮らす50代の主婦キムさんは「白菜から各種の具材まで準備するにはお金と手間ひまがかかるので、今年は早々にキムジャン計画を諦めた」と話し、「最近は白菜1株分ずつ少量だけ作って食べたり、市販のキムチを買って食べることが多く、以前のようなキムジャンシーズンの雰囲気はなくなったように思う」と語った。

ソウルに在住する40代の会社員コンさんは「市販のキムチを買うと量が少なく、キムチチャーハンやキムチチゲなどいろんな料理に使えない」と話し、「キムチを買って食べる費用もばかにならず、今年はどうするかまだ決めかねている」と語った。
Copyrights(C) Edaily wowkorea.jp 107