聯合ニュースによると、ソウル市にあるコングク(建国)大の施設の地下駐車場で23日、「LIQUID WEED(大麻リキッド)」が欲しい人からの連絡を待つなどと英語で記されたカードタイプの印刷物1枚が見つかった。駐車場に停められていた車の窓ガラスに差し込まれていたという。裏面にはQRコードが表示されておりアクセスを促している。大学側は学生に対し、こうした内容が記された印刷物を発見した際は、決してQRコードを読み取ることのないよう注意を呼び掛けた。既に警察にも相談しているという。地元警察は防犯カメラの映像を解析するなどとして、この印刷物を置いた人物の特定を進めている。
こうした内容の印刷物をめぐっては、前日には、同じくソウル市内にあるホンイク(弘益)大でも発見された。印刷物は同大美術学部の建物内で見つかり、アジュ(亜洲)日報によると、「液状大麻を持っているので連絡してほしい」などと記され、「一口飲むだけで途方もない幻覚効果を感じることができる」などとあおる内容が記載されていたという。
聯合ニュースによると、韓国の現行の麻薬類管理法は、医療目的を除き、大麻や大麻草の種子皮を吸引または摂取する行為を違法と定めている。また、大統領令には、食品医薬品安全処(所)処長から承認された場合以外、大麻の輸出入、製造、売買と売買のあっせん行為を禁じる条項もある。聯合は「こうした禁止行為に関する情報をチラシなどの広告で他人に提示することも違法と定めている」と伝えている。
韓国では今年4月、韓国ソウル・カンナム(江南)の学習塾が集まるエリアで、違法薬物入りの飲料を高校生に飲ませ、親を脅す事件が起き、衝撃が広がった。事件の発端は、2人組の男女が高校生に駆け寄り「集中力や記憶力を上げる飲料の試飲会をしている」と称して飲料を渡したことだった。その際、「今後購入したいかどうかを調査するために必要」として生徒から保護者の電話番号を聞き出したという。グループが生徒に手渡した飲料は、牛乳に覚せい剤の一種を混ぜたもので、飲んだ生徒らは体調不良を訴えた。犯行グループは保護者に対し「子供が麻薬を使用したと学校や警察に通報する」と脅して金銭を要求したという。事件が起きた江南は塾が立ち並ぶ場所としても知られ、加熱する韓国の学歴社会を描いた大ヒットドラマ「SKYキャッスル~上流階級の妻たち~」の舞台にもなった。富裕層が多く住む、高級住宅街としても有名だ。犯行は、熱心に受験勉強に励む高校生に「集中力や記憶力を上げる飲料」といった巧みな言葉で近寄り、親を脅して金銭をたかるという卑劣な手口で行われた。警察が捜査を進めたところ、脅迫電話は中国からかけられていたことが判明。中国に拠点を置く韓国の特殊詐欺組織が、犯罪の成功率を高めるため覚せい剤を使用した新手の犯罪との見方が強まった。
韓国では近年、若者への大麻や覚せい剤のまん延が深刻な問題となっている。昨年摘発された薬物犯のうち、30代以下は1万988人で、全体の約6割を占めた。また、今年1~8月に検挙された10代の薬物犯は前年(294人)の2倍以上となる659人で過去最多となった。今年1月には高校生3人が覚せい剤の「売人」として逮捕された。3月には女子中学生が、秘匿性の高い通信アプリを通じて購入した覚せい剤を同じクラスの生徒と使用したとして検挙された。
日本では、日本大学アメリカンフットボール部の部員が違法薬物を所持したとされる事件が起き、今月16日には大麻とみられる薬物を譲り受けたとして、新たに部員が麻薬特例法違反容疑で逮捕された。違法薬物をめぐる日大アメフト部員の逮捕者は2人目で、寮において違法薬物がまん延していた可能性も指摘されている。
ソウル市内の大学で薬物の購入をあおる印刷物が相次いで見つかったことを伝えた前出の亜洲日報は、見出しで「非常事態」と表現した。忍び寄る魔の手から学生を守るために、今回の事案に対する学生への注意喚起と徹底した捜査が求められる。
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