ソウルで働くAさん(女性・31)にとって、結婚と出産はまだまだ先の話だ。いつか良い相手に出会えば結婚したいという考えはあるが、経済的に安定するまでは仕事に集中したいというのが彼女の考えだ。Aさんは「30代になってからは家族や親戚から早く結婚をとプレッシャーを受けたりもするが、同年代の友人や職場の同僚に独身が多く、まだ焦りは感じていない」と話した。

結婚8年目の会社員Bさん(女性・37)の最大の関心事は出産ではなく「出世」だ。「ママ」という肩書のせいでキャリアアップさせることは現実的に難しいと感じているからだ。Bさんは「仕事と育児を並行して行わなければならないせいで昇進が遅れ、育児に専念するために退社した女性の先輩たちをたくさん見てきた」と語り、「会社は長く働ける人を望んでいるが、妊娠と出産をするならば昇進はもちろん、他の会社に転職することも不可能だろう」と吐露した。

最近、30代女性の経済活動参加率が急速に上昇した背景には、彼女たちのように子供を産まないか、子供を産む時期を先送りする割合が増えた影響だと国策研究機関では分析している。30日に韓国開発研究院が発表した「30代女性の経済活動参加率上昇の背景と示唆点」というタイトルの報告書によると、2022年の30代女性の経済活動参加率は子供がいない場合は78.7%だったが、子供がいる場合は54.5%にとどまった。

報告書によると、女性のライフサイクル別の経済活動参加率はM字曲線をなしている。労働市場に参入して上昇した後に出産・育児によって下落し、労働市場に再び参入して上昇して引退し下落する。30代はM字曲線の最初の下落ゾーンにあたり、中央部の底点に到達する年齢は2012年34歳、2017年36歳、2022年38歳などと年々高くなっている。

韓国開発研究院のキム・ジヨン経済展望室動向総括は「30代女性は出産と育児の影響で経済活動への参加が比較的低調だった層にあたるが、2010年以降急激な上昇傾向を見せている」と述べ、「最近40歳から64歳の女性を追い抜き、30代男性との格差も縮まっている」と説明している。

30代女性を30歳から34歳と35歳から39歳に分けて見てみると、このような現象さらに目立つ。35歳から39歳の世代の経済活動参加率は66.2%であるのに対し、30歳から34歳の世代は75%と8.8%の差がある。両世代を比較すると、既婚者の割合は65.3%から52%に、子供がいる割合も46.9%から32.3%にそれぞれ低くなった。特に、子供が2人以上いる割合は22.9%から13.6%へと大きく減った。一方で、未婚者の割合は34.7%から48.0%に急増し、子供のいない既婚女性の割合は18.4%から19.7%に高まった。

キム総括は「子供を産まないか、子供を産む時期を先送りする女性が増加していることが30歳から34歳の女性の経済活動参加率上昇の1次的要因」と語り、「特に2人以上子供を持つ女性の割合が減少したことが30歳から34歳の女性の経済活動参加率の上昇に大きく寄与したが、依然として子育てにかかる負担が30代女性の経済活動参加を阻害する最も大きな要因であることを示唆している」と述べた。

このような30代女性の経済活動参加率の上昇傾向は肯定的に解釈できないというのが報告書の指摘だ。短期的には女性たちが労働市場に参加し、人口構造にともなう労働力の供給鈍化を緩和しているが、少子化問題を引き起こす現象であるだけに長期的には生産可能人口の減少につながるためだ。

2022年の韓国の合計出生率(妊娠中の女性1人が生涯で産むと予想される子どもの数)は0.78人にとどまった。経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち、合計出生率が1人より少ない国は韓国だけだ。今年はこれより低くなり、0.6人台にまで下がると懸念されている。国際通貨基金(IMF)や信用評価会社のムーディーズなど海外の主要機関は、少子高齢化が韓国の経済潜在成長率上昇の足かせになると警告している。

報告書は「仕事・家庭の両立に対する政策的支援」を問題の解決策として提示している。キム総括は「育児期の勤労時間を短縮する制度や、柔軟な勤務体制など出産育児期の勤労者の仕事・家庭の両立を支援する制度の活用度を高める一方で、家庭に理解を示す勤労環境の造成が必要だ」としており、「出産育児期の女性の経済活動参加率と出産率が共に上昇するよう、政策努力を持続しなければならない」と提言している。
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