政府筋によると、北朝鮮が「挑発」に出た場合、軍事合意の効力停止を公式化する方針だ。特に北朝鮮が予告している軍事偵察衛星の打ち上げが現実化した場合、日本海・西海地区の偵察規制を正常化する方案を政府内で議論していると伝えられている。これは軍事境界線(MDL)一帯の偵察作戦を正常化するものだ。北朝鮮は当初、10月に3回目の偵察衛星の打ち上げを予告していたが、発射体のエンジン技術補強などの理由により、まだ打ち上げられていない。
2018年に締結された9·19軍事合意で地上と海上、空中を含むすべての空間で一切の敵対行為を全面中止することを定め、「緩衝区域」を設定した。これに伴い、MDLから西部地域は10km、東部地域は15kmが飛行禁止区域に設定された。その影響により、米韓の航空機を使用しての監視・偵察が一部制限されている状況だ。
統一部の当局者は同日会見を行い、「北朝鮮の行動を注視し、(9·19軍事合意の効力停止について)必要な措置を総合的に検討していく」と述べた。9·19軍事合意の効力停止は国務会議での審議・議決を経て北朝鮮に通達する簡単な手続きでこれを行うことが可能だ。しかし、韓国が先に9·19軍事合意を廃止した場合、北朝鮮に挑発を行う大義名分を与える恐れがあり、「一部効力停止」など様々な案を検討しているものと伝えられている。
国防部は9·19軍事合意の効力停止を繰り返し提示し、統一部など関連省庁が議論を行っている状況だ。国防部の高官も同日記者団に対し、9·19軍事合意の部分効力停止について、「キム・ジョンウン(金正恩)委員長は5大戦略課題を指示し、(北朝鮮は)それを忠実に履行するために努力を行ってきたが、最近は北朝鮮で言うところの衛星発射体の発射を試みている」とし、「発射体が粗悪なレベルだとしても、周辺に対する監視・偵察能力を拡大していくもので、韓国軍にとって深刻な脅威であり、韓国国民の生命と財産を守るために必要な措置を必ず取らなければならない」と強調した。
北朝鮮の5大課題は、極超音速ミサイルの開発、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の能力向上、多弾頭個別誘導技術の向上、原子力潜水艦および水中発射核戦略兵器の開発、軍偵察衛星の開発などだ。2021年1月の第8回党大会で金委員長が提示し、次の党大会が開かれる2026年前までにこれを完成させる計画だ。
一方、シン・ウォンシク(申源湜)国防部長官とロイド・オースティン米国防長官をはじめとする国連軍司令部に加盟する17ヵ国の代表らは同日、ヨンサン(龍山)の国防部庁舎で韓国・国連軍司令部国防長官会議を開き、70年前と同様に朝鮮半島での有事の際の共同対応を宣言した。
国連軍司令部は1950年6月25日の北朝鮮による韓国侵攻以降、国連決議により結成された軍事組織だ。1953年7月27日の休戦協定締結後も、休戦協定の管理と有事の際の米韓連合軍司令部の戦力支援にあたっている。米軍の4星将軍である在韓米軍司令官兼米韓連合軍司令官が国連軍司令官の任務も行っている。
国防部と国連軍司令部は共同声明で「国連軍司令部の加盟国は国連の原則に反して朝鮮半島で韓国の安保を脅かす敵対行為や武力攻撃が再開された場合、共同で対応する」とし、「現在の安保に対する脅威に対処するために米韓同盟と国連軍司令部加盟国間の連合演習と訓練を活発に行い、相互交流と協力を拡大させることを決めた」と明らかにした。
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