<W解説>韓国最大野党「共に民主党」の李在明代表が中国で人気?その理由とは?
<W解説>韓国最大野党「共に民主党」の李在明代表が中国で人気?その理由とは?
韓国最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)代表が、中国のインターネット上で絶大な人気を集めているという。韓国紙・朝鮮日報によると、ショートムービー「TikTok」の中国版「ドウイン」には李代表に関連する動画が多数あげられているという。中央日報は、「ドウイン」に投稿された映像につけられた「彼は全世界の英雄です」とするコメントを紹介した。

李代表の人気を高めているのは、李代表がユン・ソギョル(尹錫悦)大統領の施政や、日本政府による東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出に反対して8月から9月にかけて行ったハンガーストライキに起因しているとされる。

「共に民主党」など韓国野党は、かねてから処理水の海洋放出に強く反発。7月には同党所属の一部議員らが訪日し、首相官邸前で抗議集会を行った。8月に、日本政府が海洋放出を正式に決定するや、李代表は放出を「テロ」行為と批判し、「日本は放射能汚染(処理)水の放出によって、韓国と環太平洋諸国に取り返しのつかない災難をもたらそうとしている」と主張。また、批判の矛先を尹政権にも向け、科学的、技術的問題はないとする尹政権の責任を追及する考えを示した。

海洋放出開始を受けて、李代表は8月31日にハンストを開始。一緒に行っていた同党所属の議員が体調不良で病院に搬送された後も自身はハンストを続けた。しかし、9月18日に体調が悪化し入院。医療陣からの求めに応じる形で9月23日、ハンストを24日目で中断した。

李代表をめぐっては、ソウル近郊のソンナム(城南)市長時代の都市開発に関連した背任などの疑いがあり、今年3月に起訴された。ハンストは処理水放出への抗議や、尹政権の施政に反対の意思を示すものとされたが、一連の疑惑をめぐる李代表自身に対する捜査と裁判をもみ消すための「防弾用断食」との指摘もあった。

しかし、李代表のハンストが処理水の海洋放出への抗議の意味合いもあると報じられると、同じく放出に強い反発を見せた中国人の関心をひきつけた。海洋放出以降、中国では北京にある日本大使館にレンガが投げ込まれたほか、山東省などの日本人学校に石や卵が投げつけられる事案が発生。また、中国から日本国内の飲食店や自治体などに嫌がらせの電話が一時相次いだ。

「日本の処理水海洋放出に抵抗する」という形で李代表のハンストの映像が中国版TikTok「ドウイン」に投稿されると、李代表を称賛するコメントが殺到。李代表の人気が高まった。朝鮮日報によると、李代表が行ったハンストに関する動画の一つには、今月19日現在で192万件の「いいね」と14万件のコメントがついたという。また中央日報によると、「李在明代表の断食が15日目に入った」と題する映像には、「背中が曲がっていたが、やがて体力が持たずに横になり、これを見守る人々の中には心が締め付けられ涙を流す人もいた」との中国語字幕がつけられた。この映像は今月17日現在、「いいね」が192万件、コメント21万件がついたという。

朝鮮日報は「李代表の動画への『いいね』の数は、ほぼ同じ時期に投稿されたK-POPガールズグループ『BLACKPINK』のワールドツアー最終公演のエンディング曲『Forever Young』についた『いいね』11万件や、ボーイズグループ『BTS(防弾少年団)』の紹介動画の『いいね』6万件をはるかに上回る」と伝えた。

また、中央日報は中国国内での李代表の人気ぶりについて「ソーシャルメディア(SNS)だけで見ることができる現象ではなかった」とし、「最近、中国で最も人気がある韓国人は誰か知っているか?李在明代表だ」と同紙記者に応える20代の中国人男性の声を紹介した。

一方、同紙は、「中国国内の反日感情と共に上昇していた李代表の人気は、最近、日中が関係改善を図っていることを受けてやや冷めつつある」とも指摘した。岸田文雄首相と中国の習近平国家主席は16日午後(日本時間17日午前)、米サンフランシスコで首脳会談を行った。約1時間行われ、「戦略的互恵関係」の推進を再確認し、首脳を含む様々なレベルで意思疎通を図る方針で一致した。また、岸田首相は、中国が処理水の海洋放出を受けて取っている日本産水産物の輸入停止措置について即時撤廃を要求。両首脳は対話を通じて解決方法を見いだすことを確認した。中国政府は当初、「放出の即時停止」を要求して日本側の説明に耳を傾けてこなかったが、対話を通じた解決で合意したことは、中国側が態度を軟化させたとも指摘されている。

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