日中韓外相の対面による会談は2019年8月以来、4年3か月ぶり。会談前には3人の外相がそろって徒歩で会場入りした。道中、朴外相が英語で名所の説明をしたり、3人で記念撮影をしたりする場面もあった。事前に公表されておらず、3か国の親密さをアピールした形となった。
会談の冒頭、議長国である韓国の朴外相は、3か国首脳会談の早期開催に向けて努力することを望んでいると述べた。韓国の聯合ニュースによると、朴外相の発言に上川外相は開催に向けて前向きな発言をしたが、王外相は首脳会談に直接言及しなかったという。会談で上川外相は「隣国のため困難な問題に直面することもあるが、3か国協力の進展は地域と世界の平和と繁栄に大きく寄与する」と述べた。王外相は「中国は引き続き、隣国をパートナーとするという善隣友好の方針に基づき日韓と共に努力する」と語った。
3氏は経済・貿易、公衆衛生、人的交流、科学技術、持続可能な開発、平和・安全保障の6分野で協力する方針を確認した。また、軍事偵察衛星を打ち上げたとする北朝鮮への対応をめぐっても意見を交わした。上川外相は、中国が北朝鮮の後ろ盾となっていることを念頭に「核・ミサイル問題で中国が積極的な役割を果たすことを期待する」と述べた。また、朴外相は「朝鮮半島の平和と安定は3か国の共同利益で、北東アジアの平和と繁栄のための必須条件だ」と強調した。しかし、露朝との結びつきが強い中国との間で一致した認識を示すことはできなかった。また、パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘については、人道状況改善のために外交努力を重ねていく必要があるとの認識で一致した。
当初、会談後には共同記者会見を開く計画があったが、中止された。晩さん会も予定されていたが、王外相の都合により見送られた。中国側は王外相の「多忙」を理由としているが、読売新聞は「米国との連携を強化する日韓へのけん制との見方も出ている」と伝えた。また、日本経済新聞は「王氏は秦剛氏の解任に伴い外相に復帰した。いまも党政治局員、党中央外事工作委員会弁公室主任を兼ねる。担務が増えたことでスケジュール調整が難しくなったとの指摘がある」と報じた。王外相は会談終了直後、帰路についた。
今回、4年3か月ぶりに3か国の外相会談が実現したが、約4年にわたり開催がない3か国首脳会談は、年内の開催は事実上、困難となった。前述のように外相会談で3氏は日中韓首脳会談の早期開催に向けた作業を加速することでは一致したが、目標時期を示すことはできなかった。
日中韓首脳会談は1999年に当時の小渕恵三首相の提唱により、フィリピンでの国際会議に合わせて初めて開催された。2008年からは3か国の持ち回り開催となった。これまで、核・ミサイル開発を進める北朝鮮への対応や、経済協力などを話し合ってきた。
2019年は12月に中国の四川省・成都で開かれ、北朝鮮への対応で緊密に連携していくことで一致。東アジア地域包括的経済連携(RCEP)や日中韓自由貿易協定(FTA)など自由貿易を推進していくことも確認した。
しかし、翌2020年は日韓関係の悪化に加え、新型コロナウイルスの感染拡大も影響して見送られた。2021年、2022年も開催されることはなかった。
今年9月の3か国高官協議では早期に開催する方針で一致しており、議長国の韓国政府は今回の外相会議を通じて開催に道筋をつけたかったが、年内の開催は難しくなった。NHKが日本政府関係者の話として伝えたところによると、中国側の事情だという。3か国は近年、日本と韓国が米国寄りの姿勢を強める一方、中国は米国と対立してきたことから、関係が疎遠になっている。
今後は、来年早期の開催を目指すことに軸足を移して、引き続き調整が進められる見通しだ。
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