尹大統領は11~14日まで、オランダを国賓訪問した。韓国の大統領がオランダを国賓訪問するのは、1961年に国交が結ばれて以降、初めて。12日にはASML本社を訪問し、同社のクリーンルームを視察した。サムスン電子のイ・ジェヨン(李在鎔)会長や、SKグループのチェ・テウォン(崔泰源)会長も同行した。韓国大統領室のパク・チュンソプ経済首席秘書官は現地で会見し、尹大統領が外国首脳として初めて同社のクリーンルームに足を踏み入れたことについて「ASMLと韓国の半導体企業との深い信頼関係と戦略的協力の重要性を見せるもの」と説明した。尹大統領の訪問にはオランダのウィレムアレクサンダー国王も同席し、両者は記念に半導体ウエハーに署名した。韓国とオランダの協力の象徴としてクリーンルームに飾られるという。
ASMLは昨年11月、韓国・ソウル郊外のファソン(華城)市に新技術拠点を設けると発表。同市に計2400億ウォン(約263億3500万円)を投じ、敷地面積1万6000平方メートル規模の拠点を建設する。2024年下半期の稼働を目指し、現在、建設工事が進められている。米中の技術覇権をめぐる対立で、米国は半導体製造装置や人工知能(AI)用半導体の対中輸出をめぐる規制を強化。同盟国にも先端半導体向けの製造装置を中国へ輸出するのを控えるよう協力を要請している。中国市場での利益が見込めなくなると踏んだASMLは、韓国や台湾などに技術拠点を設けて顧客企業と綿密な協業体制を敷こうとしている。
ASMLは先端半導体の製造に欠かせないEUV露光装置の世界最大手。キヤノンやニコンといった日本メーカーとの技術競争に打ち勝ち、先端半導体の製造工程に不可欠な装置を一手に手掛けている。技術拠点を韓国内に設けることで、韓国は半導体産業の競争力をさらに高められそうだ。新拠点ができれば、韓国の半導体メーカーはEUV露光装置の維持管理がしやすくなるほか、同社が半導体製造装置の部品を韓国内で調達する可能性があり、関連業界が潤うことにもつながると期待されている。
生成型AIを中心としたAIサーバーやAIフォン、AIコンピューターなどが急速に拡大しており、韓国の半導体メーカーにとってEUV装置の確保は急務だ。メーカー各社はASMLとの関係を強化しており、SKハイニックスは2021年にASMLと5年間に4兆7000億ウォン規模のEUV装置の長期供給契約を交わしている。また、韓国産業通商資源部(部は省に相当)は今月、サムスン電子とASMLと共に1兆ウォンを投資し、韓国に超微細先端半導体工程技術を開発する研究施設を建設することを明らかにした。韓国紙の東亜日報によると、韓国科学技術院(KAIST)電気電子工学部のキム・ジョンホ教授は同紙の取材に「今後、グローバル企業と競争し、韓国のAI半導体産業を育成するために、オランダ及びASMLとの協力強化は非常に重要な課題だ」と話した。
オランダを国賓訪問した尹大統領は、13日にはルッテ首相と会談し、両国の半導体同盟を公式化することなどを骨子とした共同声明を発表した。聯合ニュースによると、共同声明には従来の「戦略的パートナー関係」を深化させるため、外交・経済担当閣僚による経済版2プラス2を新設し、隔年で会議を開くことなどが盛り込まれた。また声明では「半導体のバリューチェーンにおいて、両国の特別な相互補完的関係を認識し、政府、企業、大学を網羅する半導体同盟構築に対する意思を改めて確認した」と宣言した。
また、尹大統領は会談後の記者会見で「韓国とオランダは半導体分野で緊密な協力関係にあるが、今回の合意で同盟関係に昇格した」と語った。
今後、両国は産業間当局間の半導体対話を新設し、半導体分野の人材育成プログラムを開設する。両国の半導体分野における「協力」から「同盟」への格上げによって、両国は「WIN-WIN」の関係を確立させたといえる。
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