韓氏はソウル市出身の50歳。ソウル大学在学中に司法試験に合格し、その後、検事となった。2003年に起きた財閥SKグループの系列会社の粉飾会計事件や、2016年に表面化したパク・クネ(朴槿恵)政権下での国政介入事件など、数々の大型事件を担当した。大検察庁(最高検)検事長など検察で要職を務めた「エリート検事」で、尹大統領の検察時代からの最側近とされる。昨年5月の尹政権発足時から法務部長官(法相)を務めてきた。
聯合ニュースによると、世論調査会社、韓国ギャラップが今月初旬に発表した将来の政治指導者の支持率調査では、最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)代表(19%)に次ぐ2位(16%)に浮上した。
韓国では来年4月に総選挙を控えており、「国民の力」としては、大衆的にも人気がある韓氏を党トップに起用することで若い世代や無党派層の支持拡大を図り、勝利につなげたい考えだ。
現在、党代表代行を務めているユン・ジェオク(尹在玉)氏は、今月21日に記者会見を開き、「最善の決断を下すために、国会議員や常任顧問などから意見集約を行い、政治、文化の改善を推進しなければならない」とした上で、「韓長官は、これを実現できる最も若くて斬新な非常対策委員長になると確信している」と述べた。
4年に一度行われ、コロナ禍の2020年以来となる総選挙は、来年4月10日に投票が行われる。現在の国会の議席は定数300議席のうち、野党が過半数を占めており、4月の総選挙では、現有議席111議席の与党「国民の力」がどれだけ議席を奪い返すかが焦点となる。
その前哨戦として注目された今年10月のソウル市カンソ(江西)区の区長選挙では、最大野党「共に民主党」のチン・ギョフン(陳校薫)氏が当選した。与党候補が敗れる結果に、韓国メディアは当時「与党『国民の力』と尹錫悦大統領にとって、大きな痛手となった」(KBS)、「首都圏の冷ややかな民意を確認した与党は、内外から責任追及とともに刷新すべきとの厳しい要求に直面する見通しだ」(ハンギョレ)などと伝えた。「国民の力」は「厳しい叱責(しっせき)を重く受け止め、改革課題を迅速に履行し、国民の目線に合う新しい大韓民国をつくる。より謙虚な姿勢で国民にまずは歩み寄る党になる」とコメントした。
今月には、「国民の力」にとってまたも厳しい結果が示された。韓国ギャラップが今月5~7日にかけて全国の18歳以上の1000人を対象に行った世論調査では、来年4月の総選挙で「政府をけん制するために野党が勝利すべきだ」と答えた人は51%で、「政府を後押しするため、与党が勝利すべきだ」と答えた人(35%)を上回った。先月行われた同様の調査では「野党が勝利すべき」が46%、「与党が勝利すべき」が40%で、その差は6ポイントだったが、1か月後に16ポイントに広がったことになる。
「国民の力」は韓氏を党トップに起用し、まずは党の支持回復を狙う。韓氏は21日、「庶民と弱者の側に立ち、この国の未来に備えたい」と意欲を語った。一方、韓氏に政治経験がない点を懸念する声も上がっている。韓国紙のハンギョレは「非常対策委員長は、非常対策委員会の構成とともに、総選挙の選挙対策委員長と公認管理委員長を任命する強大な権限を持つ」とした上で、「政治経験のない韓前長官が、議員の政治生命がかかる公認候補選出の過程を円滑にやり遂げられるのかに関心が高まっている」と伝えた。
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