ユン・ソギョル(尹錫悦)政権の発足直後に新設された規制革新戦略会議は、政府の規制改革意志を示す代表的な部署だ。尹大統領が議長を務め、政府の規制政策の司令塔の役割を果たしている。これは尹大統領が直接規制改革を行うという意志の現れだ。国務総理と民間人が共同委員長を務める規制改革委員会、国務総理が団長である規制革新推進団よりもはるかに複雑で重要な規制を解くことができる部署だ。

しかし、規制戦略会議は尹大統領の就任初年度である2022年8月に開かれた第1回会議を含めて、現在までに4回しか開かれていない。それも第2回(2022年11月)と第3回(2023年3月)の会議は首相が大統領に代わって主宰し、特に関心を集めることはなかった。2023年8月に開かれた第4回会議は尹大統領が主宰したが、その後5ヵ月が過ぎても次の会議は開かれていない。第1回の会議後、「尹大統領が2ヶ月から3ヶ月に1度は規制戦略会議を開催する」という大統領室の予告は守られていないことになる。

多くの規制専門家は規制改革の重要なポイントとして「大統領の意志」を挙げる。既得権が存続していたり、あるいは多くの省庁や利害関係者が複雑に絡み合い、規制を解くことが難しいためだ。パク・クネ(朴槿恵)政権当時、朴大統領が「民官合同規制会議」などを主宰したのも同じ理由からだ。規制戦略会議も大統領が直接主宰するかどうかによってその重みが変わる。

政権3年目に入った尹錫悦政権の規制改革がどれほど成功しているかは依然として不明だ。尹大統領は「キラー規制」という新造語を作ったが、依然として企業は規制改革を実感することができないでいる。2023年3月、韓国経営者総協会が全国の50人以上が勤務する1019社を対象に行った「2023年企業規制展望調査」に回答した企業の60.2%は企業の規制環境が前年とほぼ変わらないと答えた。

韓国政府が規制改革を強調する理由は簡単だ。民間の力で経済の躍動性を体感するためには、企業各社が規制から脱し、より多くの投資を行い、雇用を創出しなければならないためだ。また、健全だった財政体制から税収不足が発生し、政府の支出を通じた成長が難しいという点も尹政権が必ず規制廃止に成功しなければならない理由として挙げられる。

尹大統領は新年のあいさつで「経済の活力を後押しできるよう、企業投資を妨げるキラー規制を廃止する」と述べている。また、最近発表した「2024年経済政策方向」でも規制改善案が多数盛り込まれている。道半ばの規制改革に対する韓国政府の意志を示す方法は、尹大統領が規制戦略会議を直接開催することから始めるべきだ。合わせて韓国政府の規制改革が質よりも量を重視していないか、またプラットフォーム規制など、早すぎる段階で規制を敷いていないかなどについても考慮すべき時だ。
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