11日韓国法曹界によると、最高裁は児童虐待の容疑を持たれている小学校教師A被告に対し有罪と判断した原審(2審)判決に、「法理を誤解した過ちがある」と判示した。最高裁は判決を確定せず、「再び判断せよ」と事件をソウル東部地方裁判所に差し戻した。
A被告は2018年3月から5月ごろ、ソウル・クァンジン(広津)区の小学校で3年生の被害児童に授業時間中、「学校に通っていなかった子どものようだ」、「お前のせいで先生の額にしわができる」、「あいつはおかしい」などの発言をした容疑を持たれている。児童福祉法は児童に対する暴言などの精神的な虐待行為を禁止している。A被告の容疑は被害児童の保護者がかばんに入れた録音機により明らかになった。
1審はA被告に懲役6か月、執行猶予2年を宣告した。1審を担当したソウル東部地裁の判事は、「保護者の信頼を裏切り、短期間に繰り返し精神的な虐待行為を行った」と判断した。2審も一部の発言に対してのみ無罪と判断し、罰金500万ウォン(約55万円)と判示した。2審のソウル東部地裁1刑事部は、「A被告の行為が児童福祉法で定める虐待行為に該当するのは明白」と説明した。
最高裁は原審(2審)の判断を覆した。最高裁は、「この録音ファイルは通信秘密保護法に基づき証拠として使用することはできない」と判示した。
最高裁は、「被害児童の保護者がこっそりと録音した授業時間中の発言は『他人間の対話』に該当する」とし、「教室内の児童にのみ公開されただけで公衆に公開されていないため、『公開された対話』として評価することはできない」と説明した。また、「被害児童の保護者は対話に参加していない当事者であり、この録音ファイルは証拠能力が否定されるとみるべき」と判示した。
最高裁関係者は、「今回の判決が有・無罪に関し最終判断をしたわけではない」とし、「これまでの最高裁の判例原則に基づき、公開されていない他人間の対話の証拠能力を認めることはできないという趣旨」と説明した。
法曹界では今回の判決が類似した争点の事件に影響を与えるとみられている。
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