詐欺犯罪の現況を示すグラフ
詐欺犯罪の現況を示すグラフ
「ものすごい高収益が保障されている投資先があるとの言葉を信じて20代の男性を通じて2億3000万ウォン(約2530万円)を投資したが、収益どころか元金も返してもらえなかった。後になって分かったことだが、彼は詐欺の前科者だった。」

これは直近6年間の統計をもとに再構成した韓国の詐欺犯罪の平均的事例だ。詐欺犯罪者の性別は男性、年齢は20代、犯罪被害金額は2億ウォン(約2200万円)を少し上回る。

韓国刑事法務政策研究院は17日、「詐欺犯罪の実態および動向」と題された分析結果を発表した。これによると、詐欺犯罪者4人のうち3人は男性だった。年齢別では20代が26.5%で最も多かった。続いて50代(20.5%)、40代(20.9%)、30代(18.1%)、60代(8.6%)が後に続いた。20代から60代まで世代を問わず詐欺犯罪者が等しく分布していることになる。「20歳未満」(4.8%)の少年詐欺犯罪者も20人に1人の割合でいた。

さらに、詐欺犯罪者3人のうち2人は前科者だったことがわかった。詐欺犯罪者の大半は同じ詐欺手口と内容で犯行を繰り返している。10代から20代の時に大小を問わず詐欺犯罪を犯してきたが、一生詐欺犯罪のくびきから抜け出せない場合が多いと分析されている。

詐欺犯罪の類型別分布を見ると、現金や物品を借りて使うなどの「借用詐欺」が23.3%で最も多かった。続いて前金などをだまし取る「売買取引詐欺」(20.5%)、ボイスフィッシングなどの「電気通信金融詐欺」(9.7%)、自害や故意的な衝突で保険金を詐取するなどの「保険詐欺」(8.6%)の順だった。

詐欺犯罪の類型別に分けると、投資詐欺の被害額が平均8億8000万ウォン(約9700万円)余りと最も大きかった。今回の研究を総括した刑事法務政策研究院のカン・ウンヨン先任研究委員は「男性の詐欺犯罪者は学歴・所得水準が低いほど、暴力・犯罪経験が多いほど詐欺の前科回数が多いことが分かった」と述べ、「反面、女性の詐欺犯罪者の場合、社会人口学的特性と詐欺の前科回数間に特別な相関関係が現れなかった」と説明した。

詐欺犯罪者たちは犯行を重ねるほど手口がより一層緻密になり、スケールが大きくなる傾向を示している。詐欺犯罪に対する処罰を強化しながらも、初犯の詐欺犯罪発生の可能性を減らすための制度的仕組みを整備すべきだとの指摘が出ている理由がそこにある。専門家たちは詐欺犯罪の予防・捜査・被害者の回復など総合的対応が可能な体系を構築しなければならないと助言している。

国会では「詐欺防止基本法案」が与野党で議論中だが、関連部署である法務部と裁判所行政処から異見が出てストップしている状況だ。この法案は警察庁傘下に詐欺統合通報対応員を設置して詐欺防止業務を遂行し、裁判所が詐欺犯罪者の身元情報の公開命令を出せるようにするなどの内容が盛り込まれている。

詐欺犯罪捜査専門検事出身のイム・チェウォン弁護士は「類似した詐欺事件が引き続き起きているが、事件の処理だけにとどまってはならず、詐欺に気をつけて事前に被害にあわないようにしなければならない」と語り、「学校で最小限の詐欺予防教育をすることも必要だ」と述べた。
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