これらの軍偵察衛星は、韓国航空宇宙産業(KAI)のサチョン(泗川)工場で組み立て・試験が行われている。KAIは多目的実用衛星1号から7号までの開発に参加している。次世代中型衛星、静止軌道複合衛星、純韓国製発射体開発事業など、この30年間に韓国政府が推進してきた宇宙事業に参加し、国内の民間宇宙事業化を導いてきた。
これをもとにKAIは2018年11月から韓国航空宇宙研究院と偵察衛星1号機である光学・赤外線衛星の本体主管開発契約を締結し、メイン部品と衛星本体を開発した。その他にもシステム共同設計と組み立て・試験にも参加するなど、偵察衛星開発の中枢的な役割を果たしている。
電子光学および赤外線装備を搭載した衛星は、可視光線を利用して地上を直接撮影することができ、高解像度の鮮明なイメージを獲得できる。しかし天候の影響を受けるため、雲が多い日の場合、地上偵察に制限を受ける。韓国軍が光学・赤外線衛星に加えてSARレーダーも確保する理由がここにある。SAR衛星は電磁波を地上の目標物に照射し、反射して戻って来る信号データを合成して映像を作る方式で、天候に関係なく地上を観測することができる。
現在偵察衛星2号機のSAR衛星は、地上で宇宙環境模擬試験施設を通じた開発試験評価が進められている。2月中に試験評価を完了し、3月に米フロリダ州のケープ・カナベラル宇宙軍基地発射場に移動する。1ヵ月間の打ち上げ準備過程を経て、4月初めに打ち上げられる予定だ。3号衛星も現在衛星体の組み立てが完了し、開発試験の評価に着手している。9月頃に開発試験評価を完了した後、11月に打ち上げられる予定だ。
KAIはSAR偵察衛星の開発にも参加し、韓国軍の監視偵察能力の向上に貢献している。2018年11月から国防科学研究所が主導して開発しているSAR偵察衛星の試作製作主管業者に選定され、SAR衛星体の開発を行っている。
このような軍偵察衛星は解像度0.3メートルから0.5メートルの高性能中・大型級衛星で、車両の種類まで確認できるほどの世界最高水準の性能だ。1基の光学・赤外線衛星と4基のSAR衛星を通じて、韓国軍は北朝鮮を2時間ごとに偵察する計画だ。北朝鮮による挑発の兆候を事前に探知して対応する先制打撃システム、いわゆるキルチェーン(Kill-Chain)の「目」の役割を担当する。
さらに韓国軍では、超小型SAR衛星の開発も進めている。現在、国防科学研究所は超小型SAR衛星と発射体を開発中だ。先月5日、韓国軍は超小型SAR衛星の試作品を固体燃料基盤の宇宙発射体に搭載して試験発射した。理論上、小型SAR衛星32機を打ち上げると、30分おきに北朝鮮など朝鮮半島の周辺を偵察することができる。韓国軍は、約40台の小型SAR衛星を打ち上げる計画だ。
KAIは「国防科学研究所と昨年5月に契約を締結し、超小型SARの検証衛星開発事業を進めている」とし、「今後、超小型衛星の量産を通じて北朝鮮の主要な地域を24時間隙間なく偵察できる監視体系の構築に寄与するだろう」と発表した。
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