<W解説>韓国の自動車輸出が過去最大実績、「歴史的快走」と韓国メディア
<W解説>韓国の自動車輸出が過去最大実績、「歴史的快走」と韓国メディア
韓国の昨年の自動車輸出額が過去最高を記録した。産業通商資源部(部は省に相当)が今月16日に発表した「2023年年間自動車産業動向」によると、昨年の韓国の自動車輸出額は708億7200万ドル(約10兆4974億1800万円)で、前年比31.1%増。これまで最高だった2022年541億ドルを大幅に上回った。韓国メディアは「歴史的快走」(ハンギョレ)などと伝えている。

地域別では北米が前年比44.7%増の369億5000万ドルで最も多く、これに欧州連合(EU)が32.9%増の108億ドルで続いた。米国市場が好調で、昨年米国に輸出された韓国車は8年ぶりに100万台を突破した。

自動車の対米輸出をめぐっては一昨年、米国で制定されたインフレ抑制法の影響が当初懸念されていた。同法には、電気自動車(EV)を購入する消費者や、再生可能エネルギー製造の企業を対象とする税額控除など、幅広い政策措置が盛り込まれている。バイデン政権が最も力を入れている政策の一つだ。

同法に基づき、米国政府はEV1台当たり最大7500ドル(約103万円)の補助金を出し、2030年までに米国内の新車販売の半分をEVにする目標を掲げている。しかし、同法に基づくEV補助金の対象になるのは、北米内で最終的に組み立てられたEVのみ。EVに搭載するバッテリーも、北米または米国と自由貿易協定(FTA)を締結した国で調達されたリチウムなどの重要鉱物を一定割合以上含んでいることを条件に定めている。韓国の自動車メーカー、現代自動車グループは韓国でEV車両を生産しているため、補助金の対象から外れる。このため、補助金対象となる他の自動車メーカーの同クラスEVよりも割高となることから、韓国側は販売上不利になるとして、同法の成立当初から懸念した。その後、米国政府は追加指針で、リース用として販売される商業用車両には条件をつけずに補助金を支給する方針を発表。これを受けて韓国の自動車メーカー、現代自動車グループはリース販売の割合を拡大する戦略に乗り出した。

韓国自動車モビリティ産業協会が先月発表したところによると、昨年1~11月までに米国に輸出された韓国車は計117万2612台に上った。1986年に小型車「エクセル」を輸出し、韓国の自動車産業が米国に進出して以降、最多という。また、米国向け韓国車の輸出台数が100万台を上回るのも2015年(106万6164台)以来、8年ぶり。韓国紙のハンギョレによると、韓国産業部の関係者は「米国のインフレ抑制法施行後にレンタルやリースなどの商業用エコカーなどの補助金支給対象製品の販売を積極的に増やしたことで、対米輸出量が前年比70%増加し、輸出拡大を導いた」との見解を示した。また、韓国紙の中央日報によると、テリム(大林)大学自動車学科のキム・ピルス教授は同紙の取材に「現代自動車の米ジョージア州の電気自動車工場が完工すれば、電気自動車の補助金を全額受けられ、米国市場でのシェアがさらに上がることが見込まれる」と話した。

一方、米国市場を含む、韓国の自動車が海外市場で好調に推移した要因について、韓国紙の朝鮮日報は「米中対立や新型コロナウイルス感染症の流行といったサプライチェーン・ショックの影響により、米国などで自動車供給不足現象が続いていた影響が大きかった。それと同時に、海外で生産していないエコカー、高級車、そのほかの韓国製スポーツ多目的車(SUV)の人気が高まり、輸出台数が大幅に増えた」と分析した。

とりわけ、現代自動車のSUVの電気自動車(EV)「コナ・エクトリック」など、エコカーの輸出が好調で、昨年の電気自動車(EV)などのエコカーの輸出台数は前年比31.3%増の72万9000台、輸出額は50.3%増の242億ドルで、共に過去最高だった。

韓国紙の中央日報によると、産業研究院は今年の韓国の自動車輸出は自動車部品も含め、昨年比2%程度増加すると予想した。
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