死者名義で金融取引、5年間引き出しだけで7000億ウォン=韓国
死者名義で金融取引、5年間引き出しだけで7000億ウォン=韓国
韓国の金融監督院は4日、死者名義で口座を開設したり、融資を受けたりする不正が相次いでいると発表した。同院が全銀行を対象に実施した検査で、過去5年間(2018年8月~23年7月)に死者名義の預金引き出しだけで約7000億ウォン(約781億円)に達したことが判明した。非対面で融資を申請した件数も49件だった。同院は「金融秩序を乱す行為であり、関係者に厳正な処罰を科す」と警告した。

 検査の結果によると、同期間に国内の17銀行で死亡者名義の口座開設1065件、融資49件、その他の取引(口座・証明書パスワード変更など)6698件などが発生した。預金引き出しは資料確認が可能な8つの銀行で34万6932件(6881億ウォン)にのぼった。

 これらの取引は、主に顧客の死亡日と銀行が顧客の死亡を認知した日(死亡登録日)の間に、モバイルバンキングや現金自動預け払い機(ATM)などの非対面チャネルを利用して行われた。

 同院は「死者名義の金融取引が発生した原因は、家族や知人などが適法な委任手続きなしに死者の名義を利用したためだ。銀行の非対面実名(本人)確認手続きでは、名義人本人かどうかを完全に確認することが難しかったと思われる」と説明した。

 例えば、モバイルバンキングを利用する際、死者の身分証明書のコピーがあれば実名確認ができ、遺族が死者名義の口座も利用が可能だ。融資の申請も、死者の携帯電話と銀行に登録された証明書のパスワードなどがあれば不可能ではない。

 同院は、「死者名義の金融取引は金融秩序を乱し、消費者と銀行の両方に害を及ぼす可能性がある」と指摘した。特に、「適法な委任手続きなしに死者名義の預金を引き出したり、ローンを組んで横領する場合、関連法令に基づいて処罰される可能性がある」と強調した。

 実際には、兄のスマートフォンを利用して非対面融資3000万ウォンを受け取って横領したA氏に、コンピューター等使用詐欺罪が適用され、懲役4か月、執行猶予1年が宣告されたケースもある。銀行も口座開設の過程で実名確認が不十分だと認められる場合、「金融実名法」違反などで制裁を受ける可能性がある。

 同院は銀行に対し、死者名義の金融取引管理の実態を自主点検させるとともに、管理監督を強化する方針だ。非対面口座開設時の顔認証システムの導入など、不正防止策の制度的努力も続けていくという。
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