日韓シャトル外交とは、日本の首相と韓国の大統領が相互訪問し、両国間の課題を話し合おうというもの。当初はリゾート地のようなところで気軽に行うことを目的とし、2004年7月、韓国の済州島で当時の小泉純一郎首相とノ・ムヒョン(盧武鉉)大統領との間で実施された。両首脳はその後、2004年12月に鹿児島県指宿市、2005年6月にソウル市で会談を重ねたが、小泉氏の靖国神社参拝が韓国で反発が強まり、日韓関係の悪化を受けて一旦廃止された。その後、2008年にイ・ミョンバク(李明博)大統領と福田康夫首相の間で復活するも、2011年12月に京都で行われた李氏と野田佳彦首相との間で行われた会談で、慰安婦問題をめぐる応酬となり、以後断絶した。パク・クネ(朴槿恵)大統領は訪日せず、ムン・ジェイン(文在寅)大統領は安倍晋三首相と再開に合意したが、本格的な実現には至らなかった。
日韓関係はこれまで長く冷え込み、「シャトル外交」が中断していたのもそのためだが、日韓関係改善を掲げた尹政権の誕生で潮目が変わった。尹大統領と岸田首相は昨年、「シャトル外交」の再開に合意。尹大統領が昨年3月に日本を訪問したのに続き、5月には岸田首相が訪韓した。両氏は昨年だけで7回の首脳会談を行った。
近く、2024年最初の日韓首脳会談の開催となるのだろうか。FNNは14日、岸田首相が来月3月に韓国を訪れ、尹大統領と会談する方向で検討が進められていると報じた。FNNは「韓国では4月に国会議員の選挙があり、日本側は日韓脳協力に前向きな尹大統領を後押しする狙いから、緊密な関係を示すために訪問を提案している。情勢を見極めて最終判断する見通し」と伝えた。
実現すれば、北朝鮮問題などが協議されるものとみられる。岸田首相は先月30日の施政方針演説で、北朝鮮による拉致問題について「拉致被害者ご家族が高齢となる中、時間的制約のある拉致問題は、ひと時も揺るがせにできない人権問題だ」とし、「政権の最重要課題だ」と述べた。
北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記は先月、岸田文雄首相に宛てて能登半島地震を見舞う電報を送った。金総書記は電報で「日本で不幸にも新年初めから地震により多くの人命被害と物質的な損失を被ったという知らせに接し、あなたと遺族、被害者に深い同情と見舞いの意を表する。一日も早く地震の被害から復旧し、安定した生活が回復することを祈る」と記した。北朝鮮の最高指導者が日本の首相に直接電報を送るのは極めて異例で、当時、その意図に関心が集まった。日朝首脳会談の開催を考えていることの表れではないかとの見方を示す専門家もいる。こうした中、英国のフィナンシャルタイムズは今月13日、日米関係者の話として、岸田首相が日朝首脳会談の実現を模索し、取り組みを強化していると報じた。強化の理由については、金総書記が岸田首相に能登半島地震の見舞いの電報を送ったことがきっかけだとしている。
拉致問題の解決のため、韓国との緊密な連携は欠かせない。報道されているように、来月、岸田首相と尹大統領の会談が行われ、拉致問題に関する協議が進むことになるか注目される。
一方、聯合ニュースによると韓国大統領室の関係者は14日、記者団に対し、岸田首相が訪韓しての日韓首脳会談の実施について検討が進められているとの報道に対し、「現在、推進されていることはない」と述べた。聯合は「現段階では首脳会談に実現に向けて両国政府が可能性を打診している状況ではなく、日本内部からのアイデアの一つという見方が強い。日本国会の予算案の審議日程などを考慮しても岸田首相の訪韓の公算は大きくないとの見解もある」と解説した。
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