キューバは、中米・カリブ海に位置する共和制国家。キューバ共産党による一党独裁体制が敷かれている。首都はハバナで、人口は約1125万6000人(2022年現在)。公用語はスペイン語。
野球大国としても知られ、代表チームは赤いユニフォームから「赤い軍団」とも呼ばれる。五輪にはこれまで5回出場し、金メダルを1992年、96年、2004年の3回獲得している。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)には5回出場しており、2006年には準優勝した。中日ドラゴンズのライデル・マルティネス投手や、昨年12月にソフトバンクを退団した強打者、デスパイネ選手など、日本のファンにも知られている選手もいる。1959年のキューバ革命後、国家元首となったフィデル・カストロ議長は、アマチュア選手を育てる政策を推進したほか、野球を国技に定めた。しかし、近年は優秀な選手の海外流出が相次いでおり、国内リーグは人気、レベルともに落ち、観客数も減少傾向にあるという。
野球のみならず、バレエも盛んで、国立バレエ団は世界有数のバレエ団となり、これまで著名なダンサーを数多く輩出している。
また、キューバは現在、米国の経済制裁下にある。オバマ米政権時代の2015年にキューバと米国は正式に国交が回復したが、トランプ政権で一転、制裁が科されるようになった。バイデン現政権下でも制裁はほとんど解除されていない。
共産主義国であるキューバは北朝鮮との関係は親密で、「兄弟国」と称されるほどだ。1960年に外交関係を結んだ。1988年のソウル五輪では、キューバは出場をボイコットし、北朝鮮との連帯を示した。2016年にカストロ議長が死去した際には、キム・ジョンウン(金正恩)総書記が弔電を送った。昨年9月には、米ワシントンにある在米キューバ大使館に火炎瓶が投げ込まれる事件があり、北朝鮮外務省は翌月、攻撃は米国の卑劣な反キューバ的意図によるもので、キューバに対する「テロ攻撃」を米国が黙認していると批判した。北朝鮮外務省の報道官による声明では、米国はキューバ大使館の安全確保を怠り、キューバのように米国が好まない国をテロ支援国家に指定しようとしているとも指摘した。さらに報道官は、事件について「重大なテロ攻撃」とし、同大使館で2020年に何者かがライフルを発射した事件と同様の事件だと指摘した。今年1月1日には金総書記はディアスカネル大統領に、キューバ革命から65年に合わせた祝電を送り、「社会主義勝利のための共同闘争で結ばれた両国の伝統的で、同志の友好協力関係が今後も強化、発展することを確信する」と述べた。
一方、韓国は1995年のキューバ革命を機にキューバと断交、交流が途絶えた。パク・クネ(朴槿恵)政権下の2016年に、当時のユン・ビョンセ外相がキューバを訪問し、国交樹立に意欲を示したこともあった。また、昨年6月には豪雨で大規模な被害が発生したキューバに30万ドル規模の人道支援を表明。キューバとの関係改善を進める姿勢を示していた。
そして、韓国外務省は14日、キューバと国交関係の樹立で合意したと発表した。同省は声明で「中南米外交強化の重要な転換点だ」と指摘。ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が掲げる「グローバル中枢国家」としての「外交の地平を拡張する」と強調し、「両国の経済協力拡大や韓国企業の進出支援の制度的基盤を構築する」と説明した。韓国はこれで全ての中南米諸国と外交関係を結ぶことになった。
聯合ニュースによると、韓国政府の高官は、尹政権の発足後、キューバとの外交関係の樹立に向け水面下で動いていたと説明した。北朝鮮の妨害を避けるためだったという。韓国紙の中央日報は、「北朝鮮の『兄弟国』であるキューバとの外交関係樹立は、修交国家の数が一つ増えること以上の意味がある」と指摘。「これは自然に、国際舞台における北朝鮮の外交的孤立が深まっていくことにつながる展望だ」と伝えた。韓国は北朝鮮の外交基盤の切り崩しを図った形だが、今後、北朝鮮の反発も予想される。
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