「弟たちにご飯を食べさせるために自転車を盗みました。すみません。」

2023年11月20日にキョンギド(京畿道)オサン(烏山)警察署に自首した高校生A君が、自転車窃盗の事実を告白した言葉だ。

警察によると、A君は警察署に自首する2日前の11月18日の午後9時頃にアルバイトを終えた後、あるマンションのロックされていない自転車に乗って帰宅した。A君の家はそのマンションから徒歩で30分の距離にあった。

数時間後、自転車の持ち主が「私の自転車が盗まれた」と警察に通報し、捜査が始まった。ところが、本格的な警察の捜査が始まる前に、A君が自転車を持ち主に返し、警察を訪れたのだ。

A君は「普段友達が乗っている自転車と似ていて、友達の自転車と勘違いした」と供述し、「しばらく借りて乗ろうとしたが、すぐに他の人の自転車という事実を知って返した」と打ち明けた。続けて「仕事を終えて帰宅する時間があまりにも遅くなり、早く6人の弟のご飯を作らなければと思ってつい」と言葉を濁した。

それから事件の書類は上級機関である烏山警察署女性青少年課に移管された。担当警察官は窃盗事件よりもA君の供述に出てきた家庭の事情に注目した。

A君は家庭の事情は厳しかったが、基礎受給者や次上位階層に属さず、福祉の死角地帯に置かれていた。A君の父親は月収があり、車も所有しているので、基礎生活受給や次上位層など低所得者階層の選定対象からは除外されていたのだ。

しかし、7人兄弟に両親を含めて計9人のA君の家族は、生活環境が劣悪な14坪の国民賃貸マンションに住んでいた。A君の父親は自動車の所有について「子供が多く、妻を病院に連れて行かねばならないこともあり、車が必ず必要だった」と話したという。

A君は6男1女の長男だ。まだ高校生だが、A君は生計のために家の近くの食堂でアルバイトをしていた。 A君の父親は物流センターで勤務し、母親は心不全と肺疾患などで闘病中であり、まだ中学生、小学生、幼稚園児、生後7ヵ月の6人の弟は事実上A君が面倒を見ていた。

警察は、A君の家庭が地方自治体の助けが必要だと見て、数回にわたり家庭訪問を実施し、具体的な家庭の事情を調査した。さらに住民センターや保健所などの関係者らと合同でA君の保護者と面談を行い、子供らの健康状態を確認した。

その結果、烏山市、烏山警察署、住民センター、青少年センター、保健所、福祉機関など7機関は6日に統合会議を開き、A君の家庭に実質的な福祉支援をすることを決めた。生活支援としては緊急福祉支援{320万ウォン(約36万2000円)×3ヶ月}、家庭後援物品(布団やラーメンなど)、給食費{30万ウォン(約3万3000円)}、住居環境改善(住居消毒)、子供医療費(30万ウォン)、眼鏡購入費{10万ウォン(約1万1000円)}などの支援を行った。

警察の関係者は「A君が警察に感謝するという言葉とともに、今後重機の運転技術を学んで家族の生計を維持し、弟たちを世話すると伝えてきた」とし、「警察は今後7人兄弟が元気に育ってほしいと願っている」と述べた。

また、警察はA君の自転車窃盗事件について、先月11日に先導審査委員会を開いた。 先導審査委はA君に即決審判の処分を下した。その後、裁判所はA君に罰金10万ウォンの宣告を猶予している。
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