<W解説>異例づくしだったサッカー女子パリ五輪アジア最終予選第1戦、日本対北朝鮮の試合
<W解説>異例づくしだったサッカー女子パリ五輪アジア最終予選第1戦、日本対北朝鮮の試合
サッカー女子のパリ五輪アジア最終予選、日本と北朝鮮の第1戦が24日、サウジアラビアのジッダで行われた。世界ランキング8位の日本代表「なでしこジャパン」は同9位の北朝鮮に0-0で引き分けた。試合会場が中立地のサウジアラビアに決まったのは試合3日前。ドタバタの中での一戦では、なでしこジャパンのユニフォームの組み合わせも話題になった。

この試合は当初、北朝鮮のキム・イルソン(金日成)競技場で開催予定だった。「なでしこジャパン」が平壌に乗り込むとみられていたが、AFC(アジア・サッカー連盟)は、日本と北朝鮮間に飛行機の定期便がないこと、競技運営の観点から不透明な点が多いことから、中立地での開催を提案。これに対し北朝鮮は中国での開催を希望したが、中国側の態勢が整わず、調整は難航した。この試合は北朝鮮が「ホーム扱い」なため、代替地の選択権は北朝鮮側にあり、日本は決定を待つしかない状況だったが、直前の21日にサウジアラビアのジッダで行われることが決まった。23日、北朝鮮代表のリ・ユイル監督は現地で記者会見し、「ピョンヤン(平壌)で、家族や友達の前で試合ができないのは残念だが、決定を受け入れている。気候はどちらにとっても同じ。気にしていない」と語った。

日中の最高気温が30度を超す暑さとなった24日、ほぼ無観客状態で試合が行われた。日本は立ち上がりからボールを保持して押し込むも、思うようにチャンスをつくれなかった。一方、北朝鮮は序盤から積極的にボールを送り込み得点を狙った。後半、日本はドリブルが持ち味の中嶋淑乃選手らを投入して流れを変えようとしたが、得点にはつながらず、0-0で引き分けた。試合後、池田太監督は「ホームでの戦いにつながる試合だった」とする一方、「相手にボールを収められて奪いどころをなかなか作れなかった」と反省点を口にした。熊谷紗希主将は28日の第2戦に向け「ホームで試合ができることをアドバンテージにしながら、パリオリンピックへの切符を皆さんと一緒に取れるように頑張っていきたい」と話した。

試合では、なでしこジャパンのユニフォームの組み合わせも話題となった。シャツはホームグランドで試合をする時用の青い1stユニフォームを着用したが、パンツはアウェー用のピンクのものを着用して臨んだ。本来、なでしこジャパンはホームでの試合にはシャツは青、パンツは白、アウェーでの試合では上下ともピンクのユニフォームを着用する。北朝鮮が上下「白」の組み合わせのためこの配色となったが、珍しい組み合わせとなり、ネット上では驚きの声が上がった。

この試合は北朝鮮内でも関心が高かったとみられ、国営の朝鮮中央通信や朝鮮労働党の機関紙、労働新聞が記事を掲載した。

第2戦は28日に東京・国立競技場で行われる。25日夜には北朝鮮の代表選手が来日した。羽田空港には、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の関係者ら約200人が駆け付け出迎えた。北朝鮮代表の来日は、2019年3月のフィギュアスケート世界選手権以来で、約5年ぶり。日本は独自制裁で北朝鮮国籍保有者の入国を禁止しているが、スポーツ交流は特例扱いとなる。ターミナルの通路には、選手たちが到着する2時間前から柵が設けられるなど、物々しい雰囲気に包まれた。一方、なでしこジャパンは26日に帰国予定。スポーツニッポンは「北朝鮮代表は一足先に来日し、時差調整でアドバンテージを得た形となる。運命の一戦を3日後に控え、北朝鮮代表は早くも決戦モードに入った」と伝えた。

第2戦は前後半を終えて同点の場合、延長戦やペナルティーキック戦が行われ、勝った方がパリ五輪の出場権を獲得する。

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